カラオケ
勝利だギューちゃん
第1話
夜の街を歩いている。
夜といっても、まだ9時ごろ。
この時間だと、若者たちのゴールデンタイム。
あちらこちらに、それぞれの群れを見る。
まあ、僕も歳の頃なら若者だ。
大切なのは、心の若さだ。
肉体の衰えは、年齢には逆らえない。
でも、心だけはいつまでも、思春期でいたい。
まあ、思うだけで、手を出せば犯罪になるので、やらないが・・・
駅前に出ると、カラオケボックスがある。
僕は、そこに入る。
「今日も、1人カラオケですか?」
カウンターで、店員に声をかけられる。
すっかり、顔なじみだ。
僕は、カラオケにはひとりでくる。
大勢で歌える曲が、ないからだ。
まず、受け狙いのために、流行りの曲は唄いたくない。
反感を買うし、何より良く知らない。
アニソンも、NG。
好きではあるが、最近のアニメは知らない。
唄って笑い者になるのはまだいいが、大勢の中に、そのアニメ好きがいた場合、
話を合わせられない。
KYな僕は、自分の好きな曲を好きなように唄いたい。
なので、ひとりで行く。
店員にも聴かれたくないので、注文したドリンクを届けられた後で唄う。
その後の時間、僕のワンマンショーだ。
「さあ、ショーの始まりだ!」
画面からイントロが流れてくる。
曲と画像があっていないのは、気にしない。
今、この時間は僕のためにある。
そして、一曲を唄い終える。
僕の十八番の、西郷輝彦の「願い」。
実にいい曲だ。
その時、拍手の音が聞えた。
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