第109話 色々一気に片付けちゃうぜ!

 俺達の計画した異世界テーマパークは、前評判からしてメチャ盛り上がってる感じがする。

 まぁ開業までは一年近くは掛かると思うから、今はテネブルの世界から建物を移築してくることくらいしか出来ないけどね。


 俺達は、テネブルの世界でダンジョン攻略をして、あの世界での目的を達成しないといけないしね。


「パパ、そう言えばこの間サンチェスさんの所で買った錬金導具って何処で使うの?」

「ああ、あれな。俺が魔法薬の作成をしてみたいんだけどさ、向こうの世界だとさ俺、黒猫だから細かい作業とかできないじゃん」


「まぁそうだね」

「だから、坂口さんの作る異世界テーマパークに、錬金小屋建てて、本当にそこでポーション作成とかしようと思ってる」


「えっ? それって大丈夫なの?」

「まぁ顔バレしない様にローブとか羽織るし、逆に本物のポーション作ってるなんて、だれも信用しないだろ? 薬として売ったりはしないし」


「へぇ、そんなもんなんだ? そう言えばなんかパパにハガキ来てたよ。同窓会のお知らせみたいなの」

「お、そうか。俺もこっちに戻って来てから半年近くなるのに、全然同級生に連絡とったりしてないしな。顔だけでも出して置くか」


「でも、同窓会って今何してんの? みたいな話ばかりでしょ? 小説の事とか言うの?」

「いや、そんな話はしないよ。異世界テーマパーク絡みで結構、俺の小説は今話題になってるし、身近な人間に知らせると面倒な予感しかしないからな」


「だよねぇ、私のVチューバーとしての活動も絶対誰にも言えないもん。初月から月収一千万円近くになりそうだし、企業案件って言うか……坂口さんの会社からスポンサー契約入って、その収入も一月二千万円とか言ってるんだよね」

「太っ腹だな。でも確かに一番狙い通りの顧客が見てる動画だし、間違いは無さそうだけどな」


「こんな収入があるのを友達とかが知っちゃうと大変だよ」

「そうだな。そう言えば香織はどうなんだ? T&Rの業績とか?」


「俊樹兄ちゃん。それも、坂口さんの所のコンサルタント業務と、レンタカー事業と、私のDJ収入、俊樹兄ちゃんの印税管理。が主業務だけど、毎月その合算だけで億単位の利益になりそうだから、赤城先生が節税のためにもっとお金使って下さいって言ってるわよ」

「あー、経費的な感じで使うって事だよな?」


「そうだよ。社員二人の会社だから、使うのも限度があるし家もここだからねぇ」

「しょうがないな。青木に電話して車四台くらい買うか」


 取り敢えず他に使い道が無いので、輸入車代理店の青木に電話して車を四台ほど見繕う様に言っておいた。


「俊樹兄ちゃん、同窓会っていつなの?」

「来月の第一土曜日の夜だ」


「そうなんだ。またライバル増やしたりしないでよ?」

「何でそうなるんだよ。普通に同窓会行くだけだぞ」


「何か心配だし、当日は送り迎えは私がするからね」

「じゃぁ頼むぞ」


「そう言えばさ。レンタカー屋さんが意外に人気で売り上げが月に二千万くらいあるみたいだよ」

「へぇ、凄いな。どの車が人気なんだ?」


「今の所は満遍なくかな? 毎回違う車を借りる人が多いんだってさ」

「そんなに宣伝とかして無いよな?」


「利用した人たちからの口コミでドンドン広がる感じだね。赤城先生とかもメッチャ常連さんだよ。それにさ遠藤さんがこの事業を凄く気に行っちゃって今はもうここの仕事だけしか受けて無い状態なんだよ。それにね、どうやら鮎川さんにベタぼれみたいなの」

「お、そうなのか? でも遠藤社長と鮎川じゃ年齢が鮎川の方が随分上だろ? 俺と同じ年だから」


「そうだね、十三歳差だったかな? 鮎川さんもまんざらでもなさそうだよ」

「おお、それは良かったな。じゃぁ遠藤さんにもっとやる気出させるのに、レンタカー屋別会社にして、そこの社長やって貰おうか?」


「俊樹兄ちゃん? 残念だとか思って無い?」

「ん? そんな事無いぞ。俺は香織だけしかそう言う対象では見て無いよ」


「パパ、私のいる前で堂々とのろけないでよ」

「お、スマン飛鳥。でも俺もそろそろけじめとしてちゃんとしておきたいんだ。香織。結婚前提でよろしく頼むな」


「俊樹兄ちゃん。ありがとう」

「パパ、なんか凄い。聞いてるこっちがドキドキしちゃうよ」


「結婚式とかはまだ先でもいいか? 折角だからさ今、坂口さん達と計画してる異世界リゾート施設が完成した時の、最初の結婚式とかどうだ?」

「うん。嬉しい。それ凄い素敵だと思うよ」


「へー凄いね。ねぇその結婚式の様子とか、私の動画でアップしても良い?」

「勿論いいよ飛鳥ちゃん。その時だけマリアちゃんやシスター達も来てくれないかな?」


「あ、それは……どうかな?」

「あれ? 嫌なの? 俊樹兄ちゃん」


「だって、マリア達は子猫の俺しかしらないし、俺がこんなおっさんだって解ったら、抱っこして貰えなくなりそうじゃん」

「そうかもね……」


 そんな会話があり、こっちの世界の俺はなんだか、いつの間にか素敵なお嫁さんをゲットしちまったようだな。

 飛鳥も居てくれるし、晃子も新たなパートナーときっと上手くやって行くはずだ。


 ◇◆◇◆ 


 爺ちゃん達から、テネブルの世界の謎を聞く事も出来た。

 結局はハチロウさんの子孫が色々と暗躍していたらしい。


 テネブルの世界へ渡る事は出来なかったハチロウさんだが、向こうの世界で活動してた時に、リョウマやシンサクさんと同じように、獣人族との間に子孫を残していて、建国こそしていなかったが、傭兵ギルドの基礎を作って、世界のバランスをコントロールしていたそうだ。


 リョウマさんの築いた帝国勢力が強くなり過ぎたので、王国と魔国を取り持って、魔神の復活をさせ、その力で帝国とシンサクさんの倭国の力を削ぎ、世界のバランスを取ろうとしたらしい。


 まさか、帝国の召喚によって呼び出される勇者候補が、自分たちの実力すらもはるかに凌駕する、本物の勇者が現れるなんて思わないしな。


 もう一つびっくりしたのは、チュールちゃんもハチロウの子孫なんだって。

 獣人で大きな魔力を持つ事は普通あり得ないので、それはなんとなく言われれば納得な気もする。


 ダンジョンを使うレベルアップは、リョウマさんから可能だと教えてもらった。

 三の倍数で敵レベルが上がるダンジョンと、四の倍数で敵レベルが上がるダンジョンが存在しているので、うまく立ち回れば999までは上がるらしい。

 ダンジョンクリアをどうしてもしたいならオサムに相談しろと言われた。


 岩崎さんの事だ。

 限界突破の、スキルを所持してるから、それを使う方が法があるはずだと。

 きっと心愛ちゃんと翔君とかに相談すれば、アイテム化出来るんじゃ無いか?

 って言う事だった。


 ちょっとインチキっぽいけど「使える物は何でも使って、出来るだけ簡単にクリアするのがダンジョン攻略では一番正しい」とリョウマさんに言い切られた。


 自分の命が掛かってるしね。


 攻略本を見ない派だった俺だが、守らなきゃいけない存在があれば話が違う。

 すっかり、攻略は確定した感じでマリアの元を訪れた。

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