第103話 久しぶりにダンジョン行く?

『マリア、今どこかな?』

『あ、テネブルー。今はビューティサロンだよ。リュミエルも一緒かな? 下着のストックが無くなっちゃってるから、先に補充してほしいな』


『了解、すぐ行くよ』


 という事で、俺達はビューティサロンへと向かった。

「しっかし、相変わらず凄いなぁ」


 ビューティーサロンに到着すると、ショップの前には女性ばかりの行列が、中央広場の公園まで続き、孤児院の子供達が通路の妨げにならない様に、お客さん達をプラカードを持って誘導していた。


 そのお客さん達を当て込んだ屋台から、美味しそうな臭いも漂ってきてるけど、食べれない物とか混ざってたら怖いから、屋台の食べ物を買って貰うのはちょっと怖いな。

 考えてみれば、俺がこっちの世界で危機らしい危機を迎えたのって、玉ねぎで意識を失いかけた一回だけだな。

 香織はワイバーンの時にちょっとヤバかったけど。


 今なら、ワイバーンが相手でももっと余裕で倒せるだろうけどね!


『マリアちゃん、商品出すから陳列に手の空いてる人を廻してね』

『うん。リュミエルありがとう』


 俺は下着の陳列には役に立てそうにないから、中央広場の屋台を見て回っていた。

 シエルは、リュミエルと一緒に下着の陳列を眺めてたけど、やっぱり鳩と犬だと直接商品並べたりは出来ないから、ちょっとだけ不便だよな……


 まぁ、俺達のこの世界での楽しみ方は商売はおまけだけどな。

 一時間程で下着の陳列も終わり化粧品とシャンプーやリンスの納品もしてから、マリアと一緒にリュミエルとシエルが現れた。


『テネブル、今日は、このあとやりたい事とかあるの?』

『うん。サンチェスさんに魔法薬の錬金道具をもう一セット揃えて欲しいんだよね』


『そうなんだ。じゃぁ商業ギルドに行こうか』


 そう言って向かいにある商業ギルドへと入って行き、サンチェスさんを訪ねる。

 マリアが、受付のお姉さんにサンチェスさんが居るかを確認してくれた。

「はい、いらっしゃいますので、ご都合を伺ってきますね」


 そう言って二階の執務室へと上がって行った。

 サンチェスさんからOKが出たようで「二階へどうぞ」と言われて案内された。


「お久しぶりです」


 マリアがそう言ってサンチェスさんのマスター室へと入った。


「テネブル、マリアよく来たな。王都での二回目のオークションの売り上げも渡せるからな。今回も凄かったぞ」と言われた。


「どれくらいになったんですか?」

「今回は宝飾時計が多かったからな。全部で三十億ゴールドになったぞ。約束通りわしが九億ゴールド、テネブルが二十一億ゴールドだ」


「ありがとうございます。取り敢えず私の口座に入れて置いて下さい」

「了解じゃ処理させておこう」


「今日はサンチェスさんにお願いがあるんですけど?」

「なんじゃ?」


「テネブルが魔法薬の錬金道具をもう一セット欲しいらしくて、譲って頂きたいのですが?」

「解った。わしの店に行けば在庫はあるので、これから一緒に行こうか」


「ありがとうございます」

 俺も「ありがとうございます。サンチェスさん」と言ったが当然「ニャニャニャン」としか聞こえないぜ!


 リュミエルとシエルも「バウワウワン」「クルックウゥ」って感謝を伝えてた。

 はた目に見たらとてもシュールな絵面だろうな……


「なぁテネブル、そろそろわしにも念話の魔導具用意してくれんか?」

「考えておきますって言ってます」


「まぁ良い、そう言えば王都の商業ギルドの女性達が、ファンダリアで扱ってるような、平民でも手の届くような下着を下ろして貰えないかと、言って来ておるぞ?」


 その言葉を聞いて、リュミエルに確認してみた。


「下着の在庫ってどうなの?」

「王都の人口考えると、中途半端な数じゃ全く足らないよね。折角の廉価版の商品でも転売する商人とか出て高騰しそうな予感しかしないよね」


「だよなぁ。日本に戻ったらちょっとその辺りを相談できる人に連絡とりたいな。今まで見たいなショップで仕入れるんじゃ無くて、同じデザインでサイズも揃えなきゃいけないから、卸の業者さんから大量に仕入れる手段を用意しないとな」

「戻ったら、ちょっと調べてみるね。安いだけのとこより品質の安定したメーカーと取引する方が良いと思うし」


「その件はリュミエルに任せるな」

「うん」


 という事で、マリアから出来るだけ早くに用意すると伝えて貰った。


「王都のビューティーサロンの準備はどんな感じですか?」

「もう店は出来上がっておるぞ。ファンダリアの三倍の広さで一度に三十人は相手に出来る様にしておるが、それに対応できるだけのスタッフが育っておらんとこが痛いな」


「三倍とか凄いですね。下着ショップもそこがメインになるんですか?」

「一応隣接した場所に用意はしておるが、シスターの店の繁盛ぶりを見ると、とても対応できそうにない程流行りそうだな」


「シスターとも相談して、こちらで学んでいる女性達で指導できそうな女性を、王都に送って、向こうでスタッフを育成した方が良いと言う事になってな、一月後をめどに開店しようと思う。その期間はモニターって言う形で王都の女性達に無料でサービスを提供したりも考えておる」

「増々凄い事になりそうですね」


「やるなら、とことんじゃ」


 サンチェスさんのお店に行き、魔法薬の錬金セットを揃えてもらって、収納に仕舞い込むと、久しぶりに狩りに行く事にした。

「テネブル! ダンジョン行かない?」

「えっ? シエル、ダンジョンってこの辺りだとチュールちゃんと出会ったカノンの街が一番近くになるから結構遠いぞ?」


「あのね、心愛ちゃんから転移魔法貰っちゃったんだ!」

「まじか? 凄いな」


「カノンまでの距離なら、今の私のレベルでも使えるから、行こうよ」

「マリアは大丈夫か?」


「うん、いいよ。行きたい」

「シエルはダンジョンは初めてだよな。天井がそんなに高く無い階層もあるから、十分に気を付けろよ?」


「うん。ダンジョンの動画盛り上がりそうだよね」

「確かにな」


 シエルが転移魔法を使い、カノンのダンジョン前まで転移をした。

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