第83話 冴羽って誰だよ?
ショッピングと早めの夕食を済ますと一度家に戻った。
飛鳥に動画のキャプチャーをお願いしたから、今までタブレットしか使って無かった飛鳥も、デスクトップタイプのパソコンを購入してきてた。
「ねえパパってパソコンは結構詳しい?」
「特別詳しくは無いけど一通りの基本操作は理解できるくらいかな?」
「動画をさ、うまく編集して動画投稿サイトで出しても凄いアクセス稼げると思うんだよね、やって見てもいいかな?」
「へぇ面白そうだな。動画だと小説よりも潜在的なユーザー数が桁違いに多いから身バレとかその辺だけは気を付けて取り組んでくれよ?」
「うん、ボイスチェンジャーとか使って音声入れるし、戦闘シーンとかは抜きで私の空撮動画だけでやって行こうと思ってるから、パパの小説と関連付ける人もほぼいないと思うよ」
「飛鳥ちゃんも発想が面白いね。動画投稿系だったら私はチャンネル持ってるから、大体の事は理解してるから聞いてね」
「へぇ香織姉ちゃん動画投稿もしてるんだ」
「ラジオ番組で伝えきれなかった部分とかを紹介するような番組だけど、暇なとき見てみてね。私はチョット懇親会行って来るから二人共編集頑張ってね!」
「おう、気をつけてな」
「お土産期待してるね!」
「了解! 車で出るけど今日は会社のビルの駐車場に入れっぱなしで戻るね」
「あいよ」
香織が出かけた後は、俺はパソコンに向かって執筆を始めた。
キリのいい所まで書いて、息抜きがてらに感想とメールのチェックをすると、今回は新しい仲間の登場が有ったので、その辺りで感想が盛り上がってた。
『幸せの青い鳥ってベタだけど、なんだか和みますね!』 ききら
『きっとみんなを幸せに導いてくれる存在なんです!』 テネブル
『鳩ってミミズとか虫とか食べるの? グロ系描写は苦手なので却下の方向でお願いします』 usausa0518
『安心してください! はいてます。じゃなくて普通の食事です(本人希望)』 テネブル
『テネブル、リュミエル、シエルの三匹(人)ってこっちの世界から向こうに行ってる設定なんですか?』 スロッター777
『きっとそうかもしれませんね?』 テネブル
『エロフはこの先出てきますか?』 エロフ神
『エルフは出て来ると思いますが……エロフは居るのなら激しく出会いたいです』 テネブル
『クラーケン騒動って放置ですか?』 海の遺影
『その後、関係先に出向いて無いので、そのうち行くのかな?』 テネブル
『まさかシエルは人殺したりするのかな? 心配です』 フライングバード
『先生、な、何を心配してらっしゃるのかな?』 テネブル
まさかの晃子の感想だが、疑われてるのか?
これは、ちょっと心配だな。
焦ってぼろ出さないようにしなきゃ……
◇◆◇◆
次はこれだな……
俺にプライベートアドレスを送って来ていた、冴羽を名乗る人物からのメールだ。
向こうの世界の事を何か気付いているような気配があるし、無視をする訳にもいかないだろうな。
『テネブルです。何をご存じなのでしょうか?』
それだけを送ってみた。
五分もせずに返信が戻って来た。
『世界の危機に関する重要な案件でお話があります。一度早急にお会いしたいのですが、明日のご予定などはいかがでしょうか?』
『明日は夜であれば時間は取れますが、北九州まで来ることは可能ですか?』
『了解しました。十八時以降には小倉近辺に居る様にしますので連絡お待ちしてます。私の電話番号を添付して置きますxxx-xxxx-xxxx』
世界の危機だなんていきなり言われても、ちょっと困るよな。
爺ちゃんと少し話してみるか。
俺は一人で土蔵から地下へ降りて行き、爺ちゃんと話す事にした。
「どうした俊樹、まだ戻ってきて半日も経ってないぞ?」
「爺ちゃん、世界の危機ってあり得る話か?」
「ん? この世界か?」
「解らないんだよな。冴羽を名乗る人物からどうやら向こうの世界の存在を知っているような内容の連絡が来てな、俺も流石に気になったからさ、爺ちゃんに相談してるんだ」
「俊樹、今のお前なら理解できると思うが世界は一つではない。この世界の他にも時間軸に歪みが生じて分岐した別の世界が存在するのじゃ」
「それはテネブルの世界の様な異なった文化の世界か?」
「どこで分岐したかによって、文化の成長には様々な違いが発生するが、例えばじゃがわしが最初に誕生した時代程度に、人類が成長しておれば似たような文化の違う日本がいくつかあっても全く不思議では無いんじゃ」
「どういう事なんだろう? 俺には難しくて良く解んないな」
「身近な所で言えばじゃ、わしと共に魔神の封印を行った坂本竜馬という男は、元々知識を持って居った。奴は明らかに異質な存在だったんじゃ」
「それって、この世界以外から来た可能性があるって事か?」
「恐らくそうであろう。奴は二つの人格を抱えておったのじゃが、魔神の封印を果たしてこっちへ戻って来てからは一人の人格に戻っておったのじゃ。もう一人の竜馬が何処へ行ったのかはわしは知らぬが、恐らく奴は異なる世界を渡り歩く術を持って居ったのじゃ」
「それは勇者召喚に関係なくって事か?」
「そうじゃな、奴の言葉を借りると、
「爺ちゃんは、この世界が危機に陥る可能性は、あると思うか?」
「わしらは向こうの世界から戻って来て以降は、この世界の異変を常に監視して来た。その中では考えられる範囲での争いしか起きておらぬな」
「それは人間通しの争いって言う意味か?」
「そうじゃ、人間以外の種族が明確な知恵を持って成長してくる状態でない限りはわしらは介入せぬと決めておったからの」
「そうなんだね。明日一度、冴羽という人物に有ってみるよ。その上でもう一度爺ちゃんに相談するかもしれないけど、その時はよろしくな」
「俊樹? ヒーローごっこがしたいならわしらも混ぜろよ?」
「ていうかさ、俺は世界の危機なんて救う気も無いし、この世界が危険だったら、爺ちゃん達に任せるぞ」
「その時は、わしは俊樹の身体を借りる事になるぞ? 他の身体では能力が使えないからの?」
「まじかよ……」
まぁ俺が考えても大して何も変わらないから、明日冴羽に会ってから考えるしか無いな。
世界の危機より、明日の
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