第82話 八幡でお買い物

 今回はネタが盛沢山は過ぎて結構大変だな。

 動画の編集は大変過ぎるので、飛鳥に協力を頼む事にして、飛鳥が撮影した大量の動画の中から、お気に入り画像を静止画にキャプチャーして貰って、その画像を俺がイラスト処理する事にした。


 当然、バイト料は弾むぜ!

 俺は、その間にマリアの撮影してくれている、俺達が向こうの世界に居なかった間の写真などもチェックして作業を進める。


 そうだ、ビューティサロンのお客さんも希望者は写真を撮って上げて、商売に出来そうだな。向こうでは写真が存在しないんだから、写真館的なサービスも必ず需要はある筈だ。

 綺麗にメークアップした姿を写真に収めればお見合い写真なんかの需要で、いけそうだな。


 使い易いカメラを何台か追加購入しておくか。


 そうなると、今度はヘアメイクが出来る人材が欲しいよな。

 俺は全然その辺りは疎いから、香織と飛鳥に相談してみるか。


 写真の加工をしながらスマホでメールのチェックをしてたら、不動産屋の鮎川から、明日の予定の確認が入っていた。

 俺はすぐに、『予定変更無しで良いか?』とメールをすると、電話で折り返して来た。

『もしもし、奥田君。明日は朝は何時から出かける?』

『そうだな、八時くらいにはスタートしたいな』


『うん解った。楽しみにしてるね』


 電話を切った後で、香織と飛鳥に「昼ご飯何処行こうか?」と声を掛けると「今日の懇親会に来ていく服とか、向こうの世界で使う化粧品を買いたいから、ショッピングセンターに行きたいな?」って話になって八幡東区の旧スペースワールド側にある大きなモール型のショッピングセンターへと出かけた。


「ここって、再来年くらいにアウトレットの大きな施設も併設されるらしいよ」

 と香織が情報を教えてくれた。


 スペースワールドが開業した当初は、この場所にもよく来たよなぁと高校生時代の事を思い出したぜ。

 月面歩行の体験をする機械とか、結構ここだけのオリジナルなアトラクションが有って好きだったな。


「香織も飛鳥も明後日は用事は無いか?」

「うん大丈夫」


「明後日の月曜日に俺の新しい車の納車なんだけど、今回は俺の友達の転勤祝いもしてやりたいから、博多まで引き取りに行く予定なんだ。その時にさ、博多のブランド時計を扱うようなショップに何軒か寄りたいんだよな。サンチェスさんから頼まれてる高級時計は、博多の方が店が揃ってると思うから」

「確かにそうだね」


「俺、時計とかあまり詳しく無いから、持って行く時計は香織に選んで欲しいけど良いか?」

「いいけど。予算とかあるのかな?」


「いや、向こうの世界の大金持ちしか相手にしないから、予算も青天井で構わないよ」

「へぇ、それは選びがいがありそうだね。ハリーウインストンとかショパールとかフランクミューラーの凄い時計買いまくって、店員さんに神様の様に扱われてみるのも楽しそうだね」


「香織お姉ちゃん、結構考え方が俗物っぽくていいね。中々そう言うのは思っても口に出せないから」

「女性も三十を過ぎると、ちやほやされる機会は減っちゃうからさ、ショッピングにはまる女性の気持ちって、なんとなく解るよ」


「飛鳥と香織も欲しい物があれば、行く店決めておけよ。今回は収入も結構多かったし、何でも好きなもの買ってやるからな」

「うわぁ嬉しいな。俊樹兄ちゃん大好きだよ」


「私こっちに来る時ママに『今までみたいに自由に欲しい物が買えるような事は無いから大変かもよ?』ってさんざん言われてたのが嘘みたいだね。ママよりも凄いリッチじゃんパパ」

「まぁ俺のは実際チートだからな。晃子みたいに自分の実力だけで稼いできた人は尊敬するよ」


「そう言えばパパ、何で明後日なの? 明日は何か用事なのかな?」

「ああ車が明後日の納車って言うのも有るけど、明日は不動産屋の鮎川とバイクで瓦蕎麦食べに行く約束してたからな」


「え? 俊樹兄ちゃん? それって普通にデートだよね」

「え? そうなのか? 全然そんな事意識してなかったぞ」


「ま、いっか。束縛はしない約束だし」

「何かスマン」


「パパなんか、わきが甘いって言うか心配になっちゃうよね。ママも『人よりお金を持ってると思われたら、いつの間にか知り合いがどんどん増えちゃうのは良い事なんだか悪いこと何だか解んないよ』って言ってたよ」

「俺は今までそんな事には無縁だったしな。でもこれからの人生は人に迷惑を掛けない範囲で思いっきり楽しもうと思ってるから、飛鳥も香織も俺の行動がおかしいな? とか感じたら、教えてくれよ」


「まぁ人生は楽しんだもの勝ちって言う考え方は私も嫌いじゃ無いから、そこは俊樹兄ちゃんも『好きなように楽しむ』で良いんじゃないかな? 私も実際今の生活は楽しくてたまらないからね」

「私もだよパパ」


「そうか、ありがとう」


 香織の運転する992でショッピングセンターに付くと、昼食を楽しんだ後で香織のビジネススーツっぽい服や、向こうの世界で販売するランジェリー等を見て回った。


「ねえ飛鳥ちゃん。ランジェリーなんだけど、飛鳥ちゃん少しお勉強しておいて貰えないかな?」

「お勉強って?」


「向こうの世界だと凄いお金持ちの人達ってっ沢山いるじゃない? その人たちにさ、こっちの世界のオーダーメードランジェリーみたいなのを提案したら凄いと思うんだよね。素材なんかは向こうの世界とこっちの世界だとレベルが全然違って来るし、初日はランジェリーまで提案してたら手が回らないと思ってやらなかったけど、ファンダリアのビューティーサロンも、お店の奥半分は下着の提案をするスペースになってるから、これから先凄い需要だと思うよ」

「へぇ、私やって見たいよ。向こうの世界でパパや香織お姉ちゃんみたいに、ちゃんと商売する手段を持てると、楽しさも倍増しそうだしね」


「そうだな、こっちの世界も、あっちの世界も思いっきり楽しもうぜ!」


 三人ともインベントリが使えるので必要そうな物をそれぞれ別行動で二時間程見て回る事にして、お金も二百万ずつ渡して置いた。


 俺は電気屋を覗いて、出来るだけシンプルで高画質なカメラを十台ほど購入した。

 後はアルザス先生に見せる男性用ファッション雑誌と、向こうの世界では見かけないような軽装の洋服を何着か購入した後は、家具コーナーに行ってプラスチック素材の使われていない鏡を購入してインベントリに仕舞っていった。

 でも買う量が不自然だから、インターネットで卸業者から購入した方がいいかもな? と思ったけどな。


 でもそうなると今度は俺達がこっちに居ない事が多いし、こっちで荷物の受け渡しとかしてくれる口の堅い人材が欲しいな。


 鮎川ってどうなんだろ? 積極的に仕事をしてる風には無かったし宅配物の受け取りとかだったら十分に頼めたりするかもな?


 明日聞いて見よう。

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