第19話 マリアの視力?
向こうでの出来事を結構詳しく書いてたら朝方までかかっちゃったぜ。
でもちょっとはフィクションの部分が無いと読み物としてどうなの? って感じだな。
俺の日記状態の文章だと基本マリアの胸に顔をうずめるのと、魔物倒すので終わっちゃうしな。
感想への返信は、初めての感想をいただいた人を中心に何人かにしておいたぜ。
そう言えば気になる感想も一つあったんだよな。
『向こうの世界の名前を教えて下さい!』 翔
って言う感想だったんだけど、そういや世界の名前って聞いてなかったな。
マジで解んなかったから
『次に行った時に、聞いておきます!』 テネブル
って返信しておいたぜ!
今日向こうに行く前に、総司爺ちゃんに聞いておこうかな。
◇◆◇◆
朝方の五時頃に寝たけど十時には目が覚めちまった。
香織に電話して、今からバイクを取りに行く事を伝えて倉庫の鍵を開けて貰って置いた。
香織はラジオ番組の打ち合わせで出かけるそうだ。
タクシーで香織の家に向かってバイクに乗り換え、ちょっと大きめの家具屋へ出かけた。
向こうの世界ではプラスチック部品は出回って無いから、百均の鑑だとフレームがプラスチックだったりするし、金属と木材だけのフレームの鑑を姿見と手鏡で何種類か買い込んだ。
そう言えば、向こうの世界では調味料とかはどうなのかな?
定番のコショーを粒の物を仕入れて、木と金属でできたペッパーミルを買って一緒に持って行ってみよう。
孤児院ではコショーは使って無かったし、もしかしたら高級品かも知れないからな。
買った物は昨日の化粧品もすべてインベントリに入って居るから、今日は十四時過ぎには向こうに行ける筈はずだぜ。
◇◆◇◆
十四時少し前には家に戻り、倉庫から地下へと降りて行った。
中央部分に進み地下室の明かりが灯ると総司爺ちゃんが姿を現す。
「中々イベント満載な異世界生活を送っておる様じゃな」
「どうだい? 一読者として面白いと思って貰えてるのかな?」
「わしは懐かしみながら読んでる部分があるから、また感じ方が違うかもしれないが十分に面白いと思うぞ?」
「爺ちゃん、あの世界の名前ってあるのかな?」
「俊樹? おかしな事を聞くな?」
「ん? なんでだ」
「この世界に名前はあるか?」
「あ……そう言えば世界の名前なんか無いね」
「そうじゃろ? 単一国家が統一でもしない限り世界の名前など付かないぞ。例外があるとすればゲームの中の世界のように創作された世界の場合じゃな」
「そうだね。解ったよ爺ちゃんありがとう」
そして俺は青い扉をくぐり、異世界へと向かった。
このファンダリアの街の家に着くと従魔のプレートと念話の指輪を通したチェーンを首に掛け、街へと降り立つとマリアへ念話をする。
『マリア、今どこだ?』
『テネブルお帰りなさい。今は孤児院に居るよ』
俺は、孤児院へと向かってマリアと合流した。
「テネブル聞いてよ」
「どうしたマリア?」
「昨日の夜は十五回も使えたよ魔法」
「そうか、まぁレベルも上がってるからまだ単純に使った事で上がったのか、レベルアップの恩恵なのかははっきりと言えないけど、効果はありそうだな」
「あとね、今日は子供達と一緒に西門の外の畑を午前中一生懸命耕したんだよ」
「そうか、子供達に魔物の内臓を刻んだりする作業ってさせても大丈夫かな?」
「うん。年上の子達なら包丁も使い慣れてるし問題無いよ」
「街中だと、魔物の血の匂いで危険をもたらしたとか言われたら困るから、畑の方に作業小屋が欲しいな。サンチェスさんに頼めるかな?」
「そうだね、じゃぁ商業ギルドに行って見ようか?」
「うん。あ、それとこの世界にはコショーってあるのかい?」
「あるけど貴族様用の調味料だよ。一般庶民では手が届かないよ私も口にした事無いからどんな味がするのか一度は味わってみたいかも」
「そうか、じゃぁ今日は持って来てるから狩りに行った後で魔物肉に振りかけて焼いて見よう」
「本当なの? メチャ楽しみだよテネブル」
それから商業ギルドに行きサンチェスさんを訪ねたけど、来客中で忙しそうだったから先に狩りに行く事にした。
冒険者ギルドに寄って、マリアが依頼書を持ってきた。
「今日は畑の周りに危険が有ったら嫌だから、西門を出た先にある林に現れそうな魔物の納品系の依頼を受けて来たよ」
「そうか、子供達の安全は大事だからい選択だと思うよ。少しは強い敵がいるのかな?」
マリアと二人で西門から外に出ると15分程歩いて林へと到着した。
「マリア、この辺りの敵を狩って行けばいいのか?」
「うん。今日も頑張ろうねテネブル」
「任せろ!」
今日は狩り始めた時間も早かったから、結構大量に狩れたぜ。
そしてマリアのレベルが15を迎えた時にそれは起こった。
「テネブル! ハイヒールとキュア覚えたよ!」
「やったなぁマリア。やっぱり魔力量を増やす事は大事なんだと思うぜ」
「そうみたいだね。テネブルありがとう」
「次は攻撃魔法の取得を目指して頑張ろうぜ。あ、そう言えばさマリアって前に弓矢だと全然狙い通りに飛ばないって言ってただろ?」
「うん……」
「もしかしてマリアって目が悪かったりするのか?」
「どうだろ?」
俺は自分が見える範囲の物をさししめして、「マリアあれが何だかわかるか?」と聞いて見た。
「え? どれぼやけちゃって解んないよ」
「その先にある柑橘系の木の実だけどはっきりとは見えて無いのか?」
「黄色っぽい何かがあるのかな? くらいにしか解んないよ」
「やっぱりな。マリアは極度の近視なんだと思うぞ。乱視も入ってるかもな?」
「え? そうなの? それってどういう事なのかな?」
「俺の世界だと結構一般的な症状だけど、単純にピントが合いにくいって言う状態だな。マリア、そこから一歩ずつ近寄って、さっきの木の実がはっきり見える距離まで一歩ずつ近寄ってくれ」
結局マリアの視力は相当に低く、夏ミカンほどの大きさのある実を輪郭まではっきりと見えるようになったのは、五メートルくらいまで近づかないと無理だった。
「やっぱり相当目が悪いみたいだな。この世界に眼鏡ってあるのか?」
「眼鏡って?」
どうやらこの世界には眼鏡も無いみたいだな。
「魔法だと視力って治せるのかな?」
「恐らくだけど、パーフェクトヒールなら掛けられた人は目が良く見えるようになるみたいだから、それじゃ無いかな? この間ママがアルザス先生からパーフェクトヒール掛けて貰ってたじゃない? その後で物が良く見えるようになったって言ってたし」
「そうか、ハイヒールの次に覚えるのがパーフェクトヒールなのかな?」
「えーとね、覚えるのに順番は決まって無いみたいだよ? 最初にパーフェクトヒール覚えて、魔力が足らなくて全く使えない人も居るみたいだし」
「へぇそんな事もあるんだな」
「でもテネブルの言う魔力量で次が覚えやすくなるって言うのは在りそうだし、私なりに頑張ってみるね」
その後も結構頑張って今日は二百匹ほどの魔物を倒した。
俺のレベルは33まで上がってる。
恐らくこの世界の人間はステータスポイントを振り分ける事が出来ないみたいだし、俺の実力はレベル60の人達と比べても遜色ないと思う。
マリアは今日でレベル17まで上がった。
後四日でCランク基準の20までは到達させたいな。
マリアが攻撃魔法でも覚えてくれれば、もう少し強い敵の居る場所へ行ってラーニングをしたいんだけどな。
もしくはテイマースキルでも覚えて、俺にバフを掛けられるとかだったら、随分戦闘が楽になるだろうね。
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