時事記録 マーレ防衛戦 医療班

@CB_Harutaki

作戦終了 初日

『まだ人がいるぞ!』

『瓦礫の下だ、早く!』

臨時医療ベースに帰還する間、幾度と無く遭遇した光景。

敵勢主力は最前線及び第一防衛ライン前後にて食い止められたが、別動隊や先行隊の襲撃によりマーレ地区付近までも及ぶ被害が出てしまった。

「これからが大変だな、早く戻らないと・・・」

夜更けの中砂利の混じった砂埃を上げ、自動二輪車が唸る。


「旧瀧、只今戻りました!コチラの状況はどうなっていますか?」

受付テントへ駆け寄り、帰還報告と共に状況を聞く

『御無事な様で良かったです、お疲れ様です。昨日の襲撃時よりは負傷者の発生数は減少傾向ですが、重体者が増加している様です。まだ我々の戦いは終わりじゃないですよ』

普段業務的な台詞しか言わない受付の彼女から聞き慣れない言葉が出た。

「分かってますよ、これからが勝負です!そうなればすぐに・・・」

言葉を遮るようにコール音が響く、受付が無線を取り一二言、言葉を返し切る。

「旧瀧さん、マーレ地区下層街の被害で、負傷者を収容しきれていないから、こちらで引き受けて欲しいとのことです」

「うーん・・・ここも設備は整えているとはいえ安全な場所ではないですからね、緊急で処置が必要な患者だけこっちに寄越してください。医師長には僕から伝えておきます」

本来なら医師長に直接委ねるべき事だが、何故か自分の判断も聞かれるようになっていた。無所属な傭兵の意見に左右されているのも如何なものかと思ったが。

「分かりました。すみませんがお願いします。」

「僕も少しの間はここに居ますが、こちらの状況が落ち着き次第、下層街区に向かいます」

そう伝えた後、思い出したかの様にこう付け加えた

「あぁそれと一つお願いが。寝台を一つ空けておいてくれませんか?少ししたらカルマさんという方が来るのでそこに通してあげてください、我々随分と助けて貰いましたからね!」


ベースに運び込まれた患者の数と状態を見る限り、想像以上の被害が出ている様だった。

手が足りない。とまでは行かないがやはり慌しくなる。

通信機を手に取り連絡を取る。

「そっちはもう動いてるのかい?・・・まぁ当然か。こっちは思ったよりって感じだからしばらくしてから向かうよ」

通信を切り手近な白衣を纏うと、救護室に向かった。










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