第3話 湯船を沸かしたらお風呂へ
前書き
ソリアの日記2
こちらの季節は冬で、常春に慣れた体には少し寒い。
真樹さんが暖かいお茶を出してくれた。嬉しい。
良い匂りが出ていた。紅茶と呼ぶそうだ。
真樹さんの世界でのデートが楽しみで仕方ない。
あたしにとっての初めての異世界は何もかも新鮮で…。
急な音に驚き取り乱してしまったが真樹さんに守ってもらえた。
想いを馳せてから恐怖に襲われまた彼との生活に想いを馳せる。
こんなに心が動き続ける日々は二度と来ないだろう。
あたしは真樹さんとの距離を縮めるべくデートの約束を取り付ける。
お風呂に一緒に入れる事になり積極的にあたしを猛アピールする。頬や心と体が火照るのを感じつつ、あたしはタオルを巻き真樹さんとお風呂に入る。ドキドキしすぎてとんでもない事を口走ってしまった。でもおかげで覚悟はできた。どんどん攻めていこう!石鹸にうっかりすべって距離は一気に縮まったと思う。
最初は緊張したがお風呂で温まると落ち着く。真樹さんへの想いも熱くなった。
布団で手を繋ぎ夜空を眺める。
真樹さんの優しい手に包まれて安心して眠りについた。
おやすみなさい。
第3話 湯船を沸かしたらお風呂へ
いきなりの出来事だった。精霊に願いを込めたらものすごい光に包まれた後、元の世界へ転移してしまった。互いに混乱する中ソリアに状況を伝える。
想里愛「えっとつまり・・・真樹まさきさんのいた世界に一緒に来たってことですね?」
真樹「うん、そうだね・・・落ち着かないかもしれないけど、とりあえずソファーに座ってて。お茶でも出すよ。」
ソリアに合う飲み物はあるかな・・・。おやこれはファミレスのホットティーで知った野苺茶だ。効能は美肌・解熱・血液がサラサラになるなど良い事尽くしだ。これを飲めばソリアのかわいい肌がさらにかわいくなるのだろうか。そして香りも良い。ソリアの匂いも良いけど苺の香りも好きだ。
真樹「もってきたよー。」
想里愛「あ、良い匂い・・・苺の香りがします。」
とりあえず二人でまったり過ごしつつこの世界について簡易に伝えることにした。とても高い建物や自動車に関心をもったようだ。今度一緒にドライブしに行く話になった。山桜を見に行くのも楽しみだったが現実世界でのデートもとても楽しみだ。転移したての頃はお昼だったが楽しく話しているうちにあっという間に夜になった。
真樹「そういえば少し寒いね、お風呂の湯船でも沸かそうかな。」
想里愛「お風呂があるなんてすごいですね!あたしの世界だとお金持ちの一部の人しか使っていないんです。」
真樹「へぇ、そうだったんだ!僕の世界なら毎日入り放題だよー。」
想里愛「そうなんですね!お風呂楽しみですね。」
ソリアが紅茶を飲んでいる間に湯船を沸かしに行く。軽くスポンジで洗ってからお湯を沸かすボタンを押すだけの簡単なお仕事だ。何か入浴剤を入れたほうが良いかと思いゴソゴソと探してみる。桜の湯や苺の湯があった。ここは苺推しでいこうかな?
想里愛「きゃぁ!!」
ど、どうしたんだ!?急いで食卓に戻る。あ、スマホの着信音が室内に響いている。
真樹「ごめんね、これは怖いモノじゃないから大丈夫だよ。」
想里愛「すみません、・・・たまに山にモンスターが現れるので・・・怖い思いをしてしまう事があって・・・。」
ソリアは僕にしがみついて震えている。申し訳ないことをしてしまった。ソリアへの配慮が足りなかった。急いで着信音をオフにして、ソリアを落ち着かせようとする。大丈夫だよと声をかけながら頭をなでる。
想里愛「あの・・・今日はお風呂も寝るのも一緒に居て欲しいです。」
真樹「うん、怖がらせてごめんね・・・一緒に居よう。」
しばらくソリアと離れず過ごす。だいぶ時間が経ち落ち着いてきた。一緒にお風呂に入ることにする。
真樹「そういえばタオルあるけど、巻いて置く?」
想里愛「あ、どうしよっかな・・・どちらでも良いですよっ。」
どちらでも良いだと?僕は人生で一番思考を巡らせる。この選択は重要だ。どうする、入浴剤を乳白系にすれば湯船では見えないし大丈夫だよと言い張るか?それともタオルを切らしてる風を装ってお風呂にレッツゴーか?しかしあれこれ考えている間に・・・
想里愛「あ、このタオル苺がいっぱいで可愛いですねっ!付けちゃおうかなっ」
真樹「あ・・・うん。きっとソリアに似合うよっ。」
苺め・・・。ソリアと肌をぴったり密着させるなんてうらやましい。じゃなかった、けしからん。残念そうにしてるのを表情に出さないようにし、二人でお風呂に入る。ソリアのテンションが高い。お風呂はめずらしいから嬉しいのかな?ソリアが近くに寄ってきて、背伸びをしてきたので耳を近づける。
想里愛「次は・・・タオル巻かないで一緒に入ろっ♪?」
真樹「え、あ、うん・・・!」
ソリアを見つめる。顔を赤くしながらも楽しそうに話してくれている。僕もにっこり笑った。これからずっとこんな時間が続くと良いなと本気で思った。僕はお風呂の中で、ソリアは外でタオルに着替える。
真樹「ソリア似合ってて可愛いね。」
想里愛「ありがとうございます!」
湯船に苺の湯を入れて混ぜる。良い匂いがしてきた。先にソリアに少しかけ湯をする。その後自分にもかけてから湯船に一緒に入った。
想里愛「あったかいですね♪それに良い匂いです~。」
真樹「そうだね、あったまるとホッとするね~。」
二人でワイワイしながら湯船を楽しむ。まるで夢のような時間だ。これが毎日続くというのか。ありがとう精霊さま。
真樹「そういえば日本では相手の背中を流すって風習があるんだよね~。」
想里愛「そうなんですか、真樹さんのお背中お流ししますよ~。」
ワクワクしながら湯船を出て、背中を洗ってもらうことにする。
想里愛の心の声「大きい背中でなんか落ち着くなぁ・・・、すごく優しいしすっかり好きになっちゃった、えへへ・・・ってきゃあ!?」
せっけんで床がすべり易くなっていたようだ。急に僕の背中に大きくて柔らかい2つの感触を感じる。これはしゅごい、あの異世界の雄大な山脈にも負けない大自然を感じるようだ。鏡がくもっていたが、ソリアが慌ててタオルを直している動作がわかった。この感触はタオル越しでは無かったのだ。今日で一番の収穫に違いない。ありがとう精霊さま。ありがとうソリア。
想里愛「ご、ごめんなさい。あたしドジなところがあって・・・。」
真樹「いやいや大丈夫だよ、むしろありがとうっていうか・・・せっけん使うと床がすべり易いから仕方ないよ。」
その後は無事洗い終わり、僕もソリアの背中を洗った。手で直接洗いあったのでお互いくすぐったそうにしてたが楽しい時間だった。お風呂をあがった後は、また食卓で二人でまったりと過ごした。
真樹「ふぁ~、そろっと眠たくなってきたね。」
想里愛「そうですね・・・夜に移動してから、また昼から夜まで過ごしましたからね。」
部屋の中とはいえ時期は真冬なので体が冷えないうちに布団を敷くことにした。二人で布団に入る。
想里愛「えへへ、あったかい・・・。真樹さんと一緒に居ると落ち着きます・・・。異世界での怖かったことも忘れられるし・・・とても居心地が良いです。」
真樹「あったかいね。よかった・・・僕もソリアと過ごせて嬉しいよ。ずっと仲良くこうしてたいね。」
どちらともなく布団の中で手を繋ぐ。窓際に頭を向けているので綺麗な星空が見える。この景色は異世界でも現実世界でも大きくは変わらないようだ。
真樹「この星の中にソリアのいる世界もあるのかな・・・?」
想里愛「そうだったら素敵ですね、あたしの世界もどこかにあるとしたら・・・真樹さんと一緒にあたしの家で過ごすのも良いな~って思ってるんです。」
真樹「僕もソリアの家で過ごすの、良いなって思ってたんだ。もしかしたら精霊にお願いしたらまたソリアの家に一緒に行けるかもね。」
想里愛「そうですね、一緒に自動車で出かけるのも楽しみでしたけど・・・明日一緒にお願いしてみましょう。」
そうして楽しく話しをしてから、夜も遅いしお互い寝る事にした。頭をなでなでしたら、えへへと喜んでくれた。僕の心の中で毎日なでることに決めた。ソリアがスヤスヤと寝始めて、可愛い寝顔を少し見てから僕も眠りについた。
後書き
精霊騎士隊
リーフ王国より依頼を受ける。精鋭の
精霊魔術会
リーフ王国の依頼で
リリカ達と合流し周辺の山にはリスドールは居ない事を確認した。おそらくこの樹の中に答えがある。薄暗い奥へ私達は歩みを進める。
リスドールの手記3
緊張からか喉の乾きが酷い。
樹々がトンネルの様に道を形成している。二俣に道が分かれる。
足跡を辿り右に進むと人一人が通れる穴が足元に口を広げており、穴の中からは魔物と思われる鳴き声と足音が聴こえる。
私は光を弱め息を潜める。
降りて戻れる確証は無い…二俣の道まで戻り左の道も探索した。
有り難い事に地下水が湧き出ている。
喉の乾きを潤し、麻袋に水を汲み休息を取る。
しばらくして樹が軋む音に目を覚ます。
目を閉じ疲れが出てたのか眠っていたようだ。
音の出ている方へ向かうが異常を察知して留まる。
魔物の足音が聴こえる…。
私の落ちた入り口からこちらに向かっていると頭が理解する。
体は震えている。この狭い場所で満足に魔法で攻撃できるのか?
そもそも詠唱が間に合うのか?
魔物に魔法耐性があるのか?そもそも何体居て何の魔物なのか?
壁の向こうから轟音が鳴り響いた。
足音が消えたのを確認し右の道を見に行く。
魔物は右の道を進み穴を破壊し下の階層へ降りたようだ。
足跡を見る限り大型の龍のようだ。
一体どこから現れたんだ…?
入り口に向かうと龍が開けた道が新しくできており、奥に恐らく魔物がいる。
龍を私だけで仕留めるのは不可能だ。魔法耐性が高く、原初の精霊魔術が無いと対抗できない。
長くは持たないだろうが氷結魔法で氷の壁を張る。
そして左の道に入り、氷を張り一番奥でまた深い眠りに着いた。
私は生き残れるのだろうか?誰か私を助けて…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます