リオンと誰か

@rairahura

彼女は手にした得物を振るう

たった一振り

それだけだというのに周囲には空気が揺れて歪んでいるように思えるほどの衝撃が走る

過剰なまでの破壊を向けられた罪のない木人は一暴でボロボロの木屑と成り果てた

すぐに不思議パワーで元に戻るとはいえその姿は哀れという他ない

「ど どうしたんだい、、、?」

思わずロをついて言葉がこぼれる彼女は声をかけられて初めてこちらに視線を向けた

すぐにリオンはなにも考えずに声を出したことを後悔する

リオンを見据えるその瞳は煽々と剣呑な輝きを湛えていた

これ以上何か一言でも余計な言葉を発すればあの哀れな木人と同じ末路を辿ることは想像に難くない

それを悟ったリオンの背中を冷たい汗が伝った

まずいことに自分には木人のような不思議パワー(そういえば前これは不思議パワーではなくれっきとしたエーテル学の結晶でありエーテルがなんやかんやで元の形状を保とうとしてなんとかかんとかで元に戻ると聞いた気がするが正直よくわからなかったのでよく覚えていない)を持っていない

つまり非常に良くない状況だった

数々の戦いを潜り抜けてきたリオンの頭の中ではこの状況を打破するためか今までの記憶が瞬いては消えていく

が途中でリオンは気づく

これ走馬灯だ

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