第85話 残り2時間

 あの後も、俺は何かしようとするたびに誠に止められた。過保護なくらいだ。その分、大切だと思われているんだろうか。なら、悪くはないな。


「はいはーい。しゅんしゅんの武器が届いたよ! 」


 瞬の武器って、あの針か。確かに、あれがあったら強いが……瞬の体は大丈夫なのか?


「全部で20本あるな。基本的に、これは無能力者に対して使うように」

「了解」


 今回大変なのは、能力者との戦闘だからな。無能力者との戦闘で体力を使いすぎないようにだろう。能力者との戦闘よりは、体に負担はかからないか。


「取り敢えず、大体の作戦はできた。残り1人の能力によっては微調整するが、基本的に同じ能力を持つ人と戦ってほしい」


 作戦を京さんが説明し始めたとき、圭さんから連絡が入った。


「京さん、少し待ってください」


 そう言い、圭さんからのテレパシーに集中する。


『奏さん、最後の能力者ですが、奏さんと同じテレパスのようです。あと、そいつから疑われていて……今は何とか大丈夫なんですが、そろそろ限界です』


 俺と同じ能力を持つ人か。


『分かりました。少し待っててください』


 京さんたちに、テレパスがいることと、もう限界が近いことを伝える。むしろ、今まで怪しまれずにいたことが、奇跡のようなものだ。京さんからの伝言を、圭さんに伝える。


『京さんから伝言です。16時、今から2時間後にそちらへ突入します。それまで、どうにか頑張ってください』

『あと2時間ですね。分かりました』


 京さんに視線を送ると、説明を始めるようでホワイトボードを、拓哉さんが持ってきた。2時間後には戦闘だ。全員の緊張が高まるのを感じた。勿論、俺も緊張している。


「此処にいる11人を3つのチームに分ける。1つ目は、俺と瞬、奏くん、誠くんのグループ。第1チームとでも呼ぶか。第1チームは正面から突入して戦闘を行う。このチームが、1番長く戦うことになるだろう」


 俺は第1チームか。でも、何故だろう。


「俺と瞬で無能力者を、奏くんは他のチームとの連絡、それとテレパスと戦ってほしい。それで、俺と誠くんでアクアキネシストと戦う」


 俺は他のチームとの連絡と、テレパスと戦うために第1チームなのか。なるほど。


「第2チームは、拓哉、焔くん、影くん、彩予くんだ。第2チームは天井から突入してもらう。突入するタイミングはテレポーターが現れた時。20時になるらしい」


 彩予が首を縦に振る。彩予が言うなら、そうなるだろう。


「テレポーターは拓哉と影くん、パイロキネシストは焔くんと誠くん、プレコグニションは彩予くんだが、難しいようなら他の人も手伝ってほしい。あと、誠くんは無理をしないように」


 第1チームと第2チームで戦うってことか。天井から突入するっていうのが面白いな。


「令と一静くんが第3チームだ。2人は奏くんの連絡を受けてから、必要なことをしてほしい。考えたくはないが、救急車を呼んだりな。作戦は以上だ」

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