第23話 焔の本音
瞬が標的が現れそうな場所へ、彩予と影を連れていく。彩予が、そこに標的が現れるかどうかを予測し、影は万が一、標的が現れた時に備える。移動する度に彩予の予測と、次は何処に行くかをテレパシーで伝えてもらう。という感じで3人に調べてもらっている。もう3つの場所に行っているが、まだ当たりは無し。
一方、一静は防犯カメラの映像から、標的の顔が分からないか、また能力について分からないかを調べてくれている。
「一静、焔の枕を変えてきますね」
「分かりました。お願いします」
枕の中に入っていた氷は、ぬるま湯と化していた。焔の熱がまだ高いのだろう。大量の氷を入れ、枕を閉じる。
「焔、枕を変えてきましたよ」
「……あぁ、悪い」
「良いんですよ。今は寝ていてください」
焔の瞳がうるんでいる。影が「兄ちゃんは、風邪を引くとかなり精神的にも弱るんすよ」と言っていた。冷やしたタオルを額に乗せていると、焔が言った。
「ごめん、ごめんな。リーダーがこんなんで、本当……」
「大丈夫ですよ。風邪なんて誰でも引きます。焔は何も悪くないですよ」
彼の声が少しかすれる。
「あのさ、こんな俺でも、見捨てないでくれ。離れていかないでくれ……」
赤い瞳から涙が零れ落ちる。いつも俺らを引っ張ってくれて、俺の為に怒ってくれたこともあった。そんな彼がここまで弱るとは。いや、これが焔の本音、心の声なのだろうか。焔にも色々あったんだろう。
「見捨てるわけないし、離れるわけないでしょう。安心して寝てください」
「ありがと……」
そう言い、再び眠りにつく焔。すぅすぅという寝息を聴きながら、呟いた。
「焔がそんな調子じゃ、俺まで調子が狂うんですよ。だから、早く元気になってください」
焔の部屋を出て、隣の俺の部屋に入る。一静はそこで作業をしてくれている。
「どうですか? 」
「駄目です。標的が現れた場所の防犯カメラが壊れていて、見ることができません」
「そうですか」
こうなったら、後の3人に任せるしかないのか? まだ戦うにも情報が少なすぎる。
『そーちゃん! 標的と思われる人物と遭遇した』
『分かりました。どうするかはそちらに任せます。危険なようなら戻ってきてください』
今、遭遇したか。まだ作戦も練ってないのにな。いや、寧ろ好機なのか? 相手の能力について何か分かるかもしれない。どうにか頑張ってくれ。
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