第7話 寝たら女神さまに会いました

「ねえ、翔子、あんたゆう坊とはなにも無かったよね

一緒にお風呂に入っただけだよね」


姉ちゃんが怖い顔で翔子さんに詰め寄ってる


「亜美、どうしたの

なにを心配してるのかな

聞き耳立ててたんだから何をしてたか判ってるんでしょう?」


「だから、だからよ

あんたたち、なにしてたのよ」


『おっぱい、おっぱいが当たってますよ』

『ダメ、そこ敏感だからダメです』

『女の子のそこはデリケートだから優しく触るのよ』

『わっ、男の子だってそこはデリケートなんですよ』

『うふふf、気持ちいいでしょう』

『いきます、もういきます』


「あんたたちのエッチな言葉、みんな聞こえてたんだから」


「そう、全部聞こえたんだ

ねえ、勇くん、みんな聞こえたんだって

もう、隠せないね」


いや、翔子さん、その笑い顔はなんですか

邪な企みを隠しきれてませんよ


「隠せないって、翔子さん隠すことなんかないですよね」


「え〜、勇くんたら醜い

翔子の体の全てを勇くんに捧げたのに」


「ゆう坊、あんた翔子とやったの」


姉ちゃん、言葉がストレートすぎるよ

慎みを忘れちゃいけないって


「やってなんか無いよ」


「翔子、ゆう坊はこう言ってるけど本当はどうなのよ」


クスッ


翔子さんの口角が少し上がる


「私…… 私は亜美達が考えてたようなことしかしてないよ

亜美達だってその為に勇くんとお風呂に入る権利を獲得しようって頑張ったんでしょう

ねえ、だから亜美達が私に文句を言うのは変だよね」


グヌヌヌ


今にもそんな声が聞こえそうな姉ちゃんの顔


「で、でも、私はゆう坊と一緒に湯に浸かって、それから洗いっこをして、最後にバスタオルで拭いてあげる

それぐらいの野望しか持ってなかったの

だからあんなエッチな会話になるようなことはしないから

だから翔子に聞いてるのよ」


「なんだ、それなら私がしたことは亜美がしたかったことじゃない

うん、問題ない」


「だ、だって……」


「しょうがないなあ

じゃあ、ちょっとだけ説明してあげる」


「説明?」


「そうよ、まず勇くんと一緒にお風呂に入るの

先に勇くんが湯船に浸かってたから私は後から入ったわ

そして湯船に入るには湯船を跨ぐ必要があるの

だから女の子の大切なところがどうしても勇くんの目に入っちゃうわね」


「な、なによ、大切なところって?」


「うふふ、どこかしら、教えないわよ

だって亜美はわかってるもんね」


「次に洗いっこね

私は体全体を使って勇くんを洗ったの

特におっぱいが好評だったわよ

私がおっぱいで勇くんを洗うたびに勇くんたら嬉しそうにしてくれたし

乳首が感じすぎちゃうのには困ったけど…

ああ、でもお互いのデリケートな場所は手で洗ったわよ

手じゃないと無理だもの」


「そ、それって……」


「翔子、エッチです、やりすぎです」


「あら、じゃあミキだったらどうやって勇くんを洗ったのかしら?」


「うっ、そ、それは」


「ほら、やっぱり

ミキの考えてることぐらい解るんだから

あとは、お互いの濡れた体を拭きあっただけよ

亜美、あなたの妄想と同じでしょう」


あら、みんな黙っちゃったよ

でもやっぱり声にならない『ぐぬぬぬ』が聞こえる気がするね


「姉ちゃん、他に用がないなら僕は自分の部屋で勉強するからね」


「ちょっと待ちなさいよ

勉強ならリビングでしなさいよ

そしたら教えてあげられるから」


いや、無理でしょう


「やだよ、だって判らないところを聞いても教えてくれなかったじゃん

それに僕が集中して勉強してるとすぐにちょっかいをかけてくるし

僕、集中して勉強したいんだからね

じゃあ、行くよ」


やっと、やっとだ、自分の城に無事に帰還できたよ

正直僕は限界でした

翔子さんの姿が目に入るたびに裸の翔子さんが目に浮かぶし

背中に当たる翔子さんのおっぱいの感触が恋しくなるし


何より無理矢理洗わされた翔子さんの股間の感触

あそこ、恥丘っていうんだっけ

あそこの柔らかなプニプニした感触がまだ手に残ってるし

まあ、本当に僕は限界だったんだ


だから僕はオカズになる動画を探そうとスマホを手にして

そして諦めた


だって、耳をすませば姉ちゃんたちの楽しそうな、でも言い合ってるような声がここでも聞こえるからね

それは裏返せば僕の声も聞こえちゃうってこと

だからオカズを探しても使えないよね


僕は悶々とする感情を抑え込むために、まだ早いけど寝ることにしたよ

寝るのが早すぎるから夜中に目が覚めちゃうかもしれないけど

まあ、目が覚めた頃には姉ちゃんたちも寝てるだろうから、その時には悶々を解消できるでしょう


そして僕はベッドに飛び込む

悶々とする感情に任せ翔子さんとのエッチな行為を反芻しながら

そうすればエッチな楽しい夢が見れると思うんだよね


★★★★★



あれ、期待した夢と違う


綺麗なお姉さんはいるけど服を着てるし

ああ、でも大きく開いた胸元とかは少しエッチかもしれない


でも、よく見ると綺麗すぎるかも

長い金髪の髪が白肌に凄く映えてるし

ブルーの瞳とか宝石みたいだし

長いまつげに柔らかに見える小さな唇

顔はこれ以上無いって位に美少女だ

そんな顔でダイナマイトボディーって

反則だよ

あのおっぱいはユキちゃんよりずっと大きいし

人間離れしてるよね


「勇者よ、私の胸元が気にかかるのか

女神を見て劣情するとはなんと情けない

だが、私を美を愛でる心に免じて見逃すことにしよう」


女神?

人じゃ無いんだ

そういえばここはどこ

何も無い真っ白な部屋だ


「勇者よ、思い出したか

妾が女神ぞ

そしてここは二つの世界の狭間の空間

我が願いを伝えた場所」


女神様の願い?

異世界に勇者としていくってやつだ

でも今日の女神様は随分と偉そうだな


「女神様に懇願されていたのを思い出しました

どうして今日は喋り方が偉そうなんですか?」


「もう、偉そうとか醜いです

だいたい勇介さまがいけないんですよ

私があんなに懇切丁寧にお願いしたのに無視して

だから今日は威圧的に行こうとしたのに……

やっぱり、似合いませんでしたか」


てぺぺって感じの笑いがちょっとあざといです


「ねえ女神様、どんな風に話しても異世界へ行くのはできませんよ

だって僕は姉ちゃんと二人暮らしなんです

僕が異世界に行っちゃたら姉ちゃんはひとりです

そんな寂しい思いを姉ちゃんにさせる訳にはいかないんです」


「勇者のその思いは尊重しますよ

だからパートタイム勇者に任命したんですよ」


「なんですか、パートタイム勇者って」


「それを説明しようとしたのにあなたが聞かなかったんじゃないですか

おほん

まあ良いです

説明します

簡単に言えば寝ている間だけ異世界で勇者をするってことです

だからお姉さんとの暮らしは変わりませんよ」


「待って、それじゃあ寝れないじゃないですか」


「平気ですよ、寝ながら夢を見ているのと同じですから」


「いや、ちっとも平気じゃないですよ

それじゃ、僕の気の休まる時間がないじゃないですか」


「それはそう……

いえ、そんなことはないです

異世界での冒険はあなたに充実感を与えるでしょう

素晴らしい英雄譚になるのですから

だから、行ってくださいね

ああ、それからパジャマのままじゃすぐに死んじゃいますからね

ちゃんと収納庫から勇者の装備を取り出して使うのですよ

それじゃあ、幸運を」


ちょ、ちょっと待って

僕のその思いは言葉になる間もなく

僕は光に包まれる


ああ、僕は異世界に飛ばされるんだ………ひどいよ女神さま


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