第27話 逆十字の騎士団編 鋼鉄のサベージ 3
公孝はその荒野を見て絶句した。
術者であるサベージもだ。
「これは? どういうことだ? 白亜紀の地球にお前を引き釣りこんだはず」
「おめでたいな、サベージ。地球含む太陽系にはJ結界というのがあってな? 時間遡航はそれに引っかかって生きたままで地獄におちることになる。地獄へようこそ、サベージ。さて、どうするか」
公孝は顔を真っ青にしているサベージを尻目に周囲を見渡す。
地獄の軍勢と思しき二つの軍勢が、陣形を組みながら集結中だった。
「戦争になるな……こいつは」
「せ、戦争だって? 悪魔同士でか?」
「悪魔だからやるんだろうが。頭まで良い子ちゃんなのかい? フェイゲンバウムの使徒は。どちらも見ない旗印だが、どうするか」
「わ、わたしは関係ないぞ!? 関係ない!」
「このまま地獄で塵でも食うつもりか? ここには食うモノなんてありゃしない。だから、悪魔同士はお互いに喰らい合うし、地獄に落ちたお前たちはパッケージングされてスーパーの魚のように開きにされて売られる。それが地獄だ。本物のな?」
サベージは気絶する想いだった。生きたまま悪魔に踊り食いさせる様を想像して、絶句し震えた。
「サベージ! 貴様の魔道位階は?」
「K、King級980万だ! そうだ! 俺は悪魔にも負けん! はっはっはー」
「スライムレベルか。980万じゃオークといい勝負だな!」
「ひょっとして、わたしは弱いのか?」
「原罪宝冠もないド素人同然の魔術師ではな。とはいえ、多少は助かった。お前が部屋で待ち伏せたことで、部屋ごと地獄に落ちた。ということは」
公孝は奥の部屋に入った。といっても壁もドアもボロボロになってほぼ丸見えだったのだが、そしてくだんのエレキギター、スカーキャスターを取り出して、傍らにあるアンプとつなげて、ローリングストーンズの悪魔を憐れむ歌のリフを弾きだした。
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