エターナルアイドル Lunatic

木村さねちか

エターナルアイドル Chaotic ――混沌の海に帰れ――

第1話 序章 惑星エデンにて

 遥かなる昔、彼方なる宇宙の片隅に、エデンという地球によく似た惑星があった。

 そこには地球のように自然があった。

 そこには動植物や魚、そして人がいた。

 そこには中世前期程度の文明があり、国があった。

 そして、ルシファー・ダインという名の若き戦士がいた。

 ルシファー・ダインは捨て子であったから、この名は彼を拾い育てたヤハゥエ・ヤルダバオートの付けた名で、ルシファーと言うのは誇り、ダインというのは捨て子という意味が、そこエデンの言葉での意味があった。

 ルシファー・ダインは、ヤハゥエの娘とは恋中であった。

 その名をルナ。

 ルナはまごうことなき美少女で、また気立ても良く、明るく、よく笑う娘であった。

 捨て子の負い目からふさぎがちで無口であったルシファーだったが、ルナとの会話は彼にとって至上の喜びであった。

 エデンは無数の王国に分かれ、その中でも最大版図を誇るのがハハルビコフ帝国であった。

 帝国の配下には六人の王がおり、皇帝ルシフェルは帝国に圧制をしき、市民は苦しみの中にあった。

 ヤハゥエは憂国の士であり、また、彼は世を正すべく一人で帝国に立ち向かい、人々を救って諸国を救って回った。

 また、ヤハゥエにはルシファーの他に兄弟子として自身の右腕として鍛え上げた屈強なる戦士がいた。

 その名をフェイゲンバウム。

 ヤハゥエは自らの武術と魔術の融合殺人技を『神羅舞心流』と名付けて、その全てをルシファーとフェイゲンバウムに教え込んだ。

 フェイゲンバウムは密かに五つ年下のルナに心を寄せていた。

 これは、ルシファーとフェイゲンバウム、この両名がルナを巡り、織りなす悲劇の恋物語。


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