第2話 走馬灯
かれこれ30分くらい経っただろうか。 いまだにどこかに着く様子はない。
外は何度見ても景色は変わっていない。 変わったことと言えば...
「なによ、このクソガキ、可愛くないわね。」
「うっせーなババア、だるいから消えろ」
「まあまあ、落ち着きなさい。二人とも。」
こんな感じで、なぜが口悪女と中学生が喧嘩していた。
山田さんがさっきから仲介役としてがんばってくれているが、
落ち着く様子もなさそうだ。
理由はちょっとしたことで、机の上に置いてあった3つのお菓子を
中学生が全部食べたかららしい。
それを口悪女が注意した結果、こうなった。
まるで猿かに合戦のどっちもアホバージョンって感じ
死にかけなのにお腹が空くのは謎だ まあそんなことよりどうにかしなきゃ...
「うるさいわね! このクソ厨坊が! 小林、あんたも怒りなさいよ」
ああ、面倒くさい
「まあまあ落ち着いて....」
[斎藤様。 目的地に到着いたしましたので、全員。速やかにお下りしてください]
「え、私?」
よくわからない島みたいなところに俺らは着いたようだ。
「お待たせしました皆さま。 ここからは私が案内させていただきます。」
あれ、看病してくれてた天使だ 何度見ても美人さんだ
だがこの物語はラブコメではないから、
きっと作者は天使とウホウホな関係にはしてくれないだろう
気が利かないやつめ
「どうして俺ら全員が出ないといけないの。 ゲームしてたかったんだけど。」
よく考えたら天国の途中ってゲーム持ってけるの?
というかよく考えたら服も転移してんの不思議だよね
「一応、天国へ行く船に同行したということで、最後の別れくらいは
皆さんでお送りしましょう。」
「え? 私もう天国に行くの?」
「はい 説明し忘れていましたね
天国への行き方を皆さんに説明しておきます」
[こちらの船で訪れる島は6つございます。まず、斎藤様を天国へ送るための島。
次に佐々木様、
最後に小林様。
「天国へ送る島」というのは、簡単に申し上げますと、走馬灯(そうまとう)
を見ることができる島です。
お客様全員に、これまでの人生を振り返っていただき、
最後に階段がございます。一段一段登って、だいたいの人間は天国へ行くこと
ができます。]
「と、このような感じでございます」
異世界転移系でこの手のものは全てデスゲームやらされる無理やり展開
かと思ったがそんなこともないようで一安心
「ちょっと待って、桜井と田中って誰よ。これで全員じゃないの?」
「はい。 あ、ちょうどきましたね。 急いでください」
なんだ、まだ2人もいたのか。 一人は金髪。 もう一人は...なんだあいつ。
覇気を一切感じない...
「すまん、遅れた。 どうも、俺の名前は桜井。
金髪でも変な人じゃないから安心してくれ。
で、こいつが...おまえ名前なんだっけ?」
「......」
「そうだ、田中だよな! よろしく!」
桜井さん、すげーいい人そうだ
見た目は20代って感じ 斎藤さんと同い年か?
田中さんは、本当に何者なんだ...? 僕と同い年...くらいか。
「どうも、小林です。」
「斎藤よ」 「佐々木。よろしく」
「山田です。 短い時間ですが、よろしくお願いします。」
「なによここ! ただの森じゃない! うざいわね。
早く天国に連れて行って!」
天国への道と聞いていたからふわふわの雲の上をジャンプしながら優雅に駆け抜けられる物だと思っていたが、実際はマジでただの森だ
本当に天国に行けるのかと疑うレベルの茂みだ
実はこの口悪女の性格が出てこんなになってるわけないよな?
ってか田中さんと中学生歩くのが遅い...
逆に金髪さんと天使は早い...
「小林さん、どうかしましたか?」
「あ、山田さん いや、特にないですよ。」
「そうですか いやー驚きましたよね、まさか天国に行くことになるとは」
「そうですね こんなことを聞くのは不謹慎かもしれませんが...
どうして、山田さんは自殺しようかと?」
自分でも自覚はあるが、どうしても聞きたかった
天使に何度か確認したがなぜ俺たち7人がここにきたかを
一切教えてくれなかったが、あなたと同じような人と言われたので、
おそらくみんな自分から死を選んだ人たちなんだろう
「不謹慎なんかじゃありませんよ....
僕は、全てが嫌になってしまったんですよね。」
「私は、もともとサラリーマンでして、ブラック企業に
20年近く勤めていました 辛かったけど、うちには可愛い奥さんと、
子供がいたので、家に帰ると、いつもそんな辛さを忘れさせてもらいました。
だけどある日、仕事で大失敗してしまったんです。もちろん即クビ。
もう人生終わったと思ったら、私の奥さんが、
パートでなんとか家賃は払うからって、私を責めなかったんです。」
「すごくいい奥さんですね。 とても暖かい家庭だ。」
「そうだったんですよ...」
「だった...というのは?」
「到着いたしました。 斎藤様。 ここからは先頭をお歩きください。」
「わ、わかったわ。 少しドキドキするわね。」
結局山田さんの家族になにがあったかは聞き出せなかった。
だが、あんな深刻そうな顔をしていたから、
何かすごいひどいことがあったのだろう
「では、過去を少しずつ振り返りましょう」
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