ドジな泥棒。

男は、一通り食堂の中を歩いて回った後、金目のものがなかったと感じたらしく、食堂から出て行った。


次はどこに行くんだろうなー。


もう恐怖心より、好奇心の方が強いな。これって大丈夫なのか?


泥棒のことより、自分を心配に思いながらも泥棒の後ろについていく。




泥棒の足は、食堂から廊下に出たところのすぐ近くにある階段に向かっていった。


食堂は一階にあり、俺たちの部屋は二階にある。


ということは、皆が寝ている階に行こうとしてるのか...


皆が安眠しているのを起こすのは悪いな。




俺はそう思い、二階にテレポートする。


「【障壁】【スケレヌ】【防音】!!」


小声で唱える。


あいつの声でみんなを起こすのは悪いと思い、今回は防音の魔法もつけておいた。透明化もしておいた方


これなら大丈夫だろ。


すると、丁度良く足音が聞こえてきた。


俺は,足音を立てないようにしてまた、男の後ろへと着く。




「ここ、街はずれにあったから、どんなお宝が眠っているかと思って忍び込んでみたが、食堂らしきところには何もなかったな。この階は部屋がたくさんあるから一つくらいはあってくれよ。」


そう言って男は障壁に突っ込んでいった。




ードス!


男の頭が、障壁に直撃する音が屋敷内に響き渡る。(皆が寝ている部屋を除いて。)




ぷっ...




思わず噴き出しそうになる口を両手で抑える。


ガマン、ガマン。


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