宅配便で天使が届きました~神様に捨てられたらしいので、滅茶苦茶可愛がってみた件~

香珠樹

プロローグ

 今、一人暮らしの高校二年生である俺、美濃部拓みのべたくの家には、一人……いや、人じゃないから一匹……でもそれは絶対に違うな……もう人でいいか。一人の天使……じゃなくて天使が住んでいる。……あ、追い出されたとかじゃなく、同棲な。何それとか言うツッコミはまだ待て。一人暮らしじゃないだろってのもツッコまないでくれ。……え? 夢見てるんじゃないかって? 見てねぇよふざけんな。


「――タク、お腹が空きました」

「ちょっと待て。今エルのこと紹介してるから」

「? 誰にです?」

「あーいや、こっちの話」


 きょとんと首を傾げるこの可愛すぎるのが、天使様だ。ちなみに、エルというのはこの天使様の名前で、俺が付けた。どうだ、可愛い名前だろ? どやぁ。


 俺に答えてもらえなかったからか不満げな様子でむぅと頬を膨らませるエルの頭に、俺はポンと手を置いて、撫でてやる。


「んんっ~~!」


 そうすればエルは嬉しそうに目を細め、笑顔となる。


「――ぐはっっ!」

「っえ!? だ、大丈夫ですか、タク!」

「……大丈夫だ。エルの可愛さが致死量に達しかけただけだ……」

「……ほ、本当に大丈夫ですか……?」

「ああ、大丈夫だ。問題ない」


 危うく吐血するとこだった……可愛すぎて危険人物判定されそう。指名手配的な感じで。

 無論、この可愛さは俺が独占するからそんなことにはならないがな! はっはっはっ!


 ……とまあ、これが俺……いや、俺達の日常だ。

 俺がエルを可愛がる→エルが可愛すぎる→俺が吐血しかける

 ここまで一セットな。これがループループしてるってワケ。なんなら第一段階無しでも成立するがな。


 ……さてと。

 それじゃあ、どうしてエルが可愛いのか……じゃなくて、どうして俺が天使様であるエルと一緒に暮らしているのかについて語ろうではないか! 存分にぃっ!! 気が済むまでぇっ!!




「……どうしましょう……タクが急にガッツポーズし始めました……。先程のことといい、病気にかかってしまったのでしょうか……?」

「あーうん、ほんとに大丈夫だから周辺の精神科を調べないでおくれ? 俺の頭は正常に機能してっから」





☆あとがき

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