ただ、少し気まぐれに興味が湧いただけだった。

「君は本当に神がいると思っているのか?」

目を閉じ、神に祈りをささげている少女に、声を掛けると、芯の強い瞳が静かにこちらに向けられた。

「どうして、そんなことを聞くの?」

……驚いた。

てっきり驚くか呆れるかすると思っていたのに、返ってきた少女の声は、常のように感情の乗っていない平坦なものだった、

「ただの興味だよ。ほら、私は無神論者だろう?」

本当に、それ以上の意味はない。

彼女から意見が聞ければそれでよかった。

「そう」

ただ一言、彼女はそう呟くと、顔を上げにこりと口の端を吊り上げた。

「神様は絶対にいらっしゃるわ。目に見えないだけよ」

「……その根拠は?」

どうしてだろうか。

ここで、理由を聞かずにおいたら、後々酷く後悔しそうな気がしてならなかった。

ただの興味。それだけだったはずなのに。

「だって、あなたのような悪魔が今ここにいるじゃない」

だから、神様だってきっといらっしゃるわ。

そう言って彼女は、心から幸せだとでも言うように、綺麗に微笑み指を解いた。


――この少女は、果たしてこんな笑みを作る人間だっただろうか。

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