第104話
左頬を腫らした神宮寺と俺の部屋で酒を飲む。
あれからどうなったかというと……年上の石井さんはきちんと神宮寺のご両親に挨拶に行き、最初は年の差を気にした神宮寺のご両親もしっかりした石井さんの人柄と大会社の社長のお嬢さんということに……
「……うちの愚息でよろしければ……」
と頭を下げたらしい。神宮寺の母親は神宮寺の股間を見ながら言った気がするのは何故だろう。
神宮寺と石井さんのご両親公認のお付き合いは始まったのだが神宮寺は何故か俺に
「……あの決着は少し納得いかない、一発だけ殴らせろ」
と言うので仕方なく立合った。殴りかかってきた神宮寺の拳を俺は頬で受け
自分の中のスイッチを入れた。
受けた拳を片手で全力を出して掴み神宮寺が逃げられないようにして俺も神宮寺を殴った。そうして神宮寺をノックアウトした。
神宮寺には攻撃を避ける技術とかは敵わないが自分の中のスイッチを入れたら攻撃力は馬鹿みたいに上げられるので神宮寺を打ち倒せた。
「……もう、お前とは絶対にやり合わん!!」
頬を腫らした神宮寺はそう言いつつも
「……お前は不本意ながら俺と美沙姫さんの恋のキューピッドだ……何かできることがあれば聞くぞ」
と言うので
「頼まれても裏の仕事はするな。それが俺の願いだ」
と言ったら「……わかった」と言ってくれた。これで何かの間違いで叔父さんの組が神宮寺に狙われる未来や、俺が神宮寺に殺される未来は無いだろう。
「……まったく、お前には敵わないな……」
神宮寺は酒を飲みながらそう呟き
「……そう言えば、一度、お前の彼女さんに会ったな」と、この前の蛍が遊びに来た日のことを思い出したようで話題に出す。
「……そう言えば、そうだな」
俺が蛍のことを考えながら答えると
「……最初、俺はお前の彼女になるような女だから……どんなヤバい女なんだと思っていたんだが……初めて会ったら普通の女の子だったから驚いた」
……どういう意味だよ!と怒ろうとしたら
「……でも、よくよく考えたら……お前に似合うのはああいう女の子なんじゃないかと……納得したよ」
神宮寺は「狼と小鹿のカップルみたいでお似合いだ」と言う……それは俺が蛍を食ってしまうということなのか?食べちゃいたいくらい可愛いというのは間違いないけどな。
……とりあえず褒めてくれたみたいなので神宮寺の右頬を殴るのは勘弁してやった。
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