第95話


 蛍の誕生日、6月20日に間に合う様にプレゼントを送る。本当なら直接渡したいけど仕事と学校があってそう簡単にはいかなかった……


 『先輩、お誕生日プレゼントありがとうございます、覚えててくれたんですね』


 嬉しそうな電話先の蛍の声に「当たり前だろう」と答える。


 『可愛いマグカップですね』


 「……実はそれはペアマグカップなんだ」


 『それではもうひとつは先輩が使ってるんですか?』


 「……ああ、離れてても蛍とお揃いのを使いたかったんだ」


 『嬉しいです、先輩のそのお気持ちが凄く……』


 「……本当なら抱きしめてキスしたいよ……蛍」


 『……先輩、夏休みに一日だけ遊びに行けるかもしれません。夏休み前の試験結果次第ですけど……』


 「……無理はしないで欲しい。でも、もし来れるなら待ってるから」


 『……はい、私も先輩に会ってギュッてして欲しいです』


 と言ってから蛍は


 『……先輩、誕生日なのでもうひとつだけわがまま言っていいですか?』


 と珍しく蛍からおねだりをしてきたので


 「なんでも言ってくれ、俺に出来ることならなんでもするから……」


 『……それじゃ、今夜はもう少しだけいつもより長くお話して良いですか?』


 そんな可愛いことをお願いする蛍が愛しく……仕事や学校の疲れもあったがとてと心地よい時間を過ごした。


 


 


 

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