第33話


 休日、たまには外で少し遊ぼうかと街で蛍と待ち合わせをした。

 待ち合わせ場所に行くと蛍が二人の男に囲まれている。


 「……ご、ごめんなさい、約束があるのでっ」


 「えぇー、いいじゃん、一緒に遊ぼうよ」


 ナンパか?しつこそうだな。


 「すまん、待たせたな。行こうか」


 蛍は俺の姿を見て安心したような顔をして駆け寄り俺の背中に隠れる。


 「すまんな、俺の連れなんだ」


 「チッ、なんだよ」


 二人は悪態をついて去っていった。俺の顔を見てそんな悪態をつくようなのでこの辺の奴等じゃないんだろうなと思いつつ、いなくなったので……まぁ良いかと蛍に向き合う。


 「すまん、遅くなって」


 「……いえ、私が早く来過ぎてたんです……」


 そう言う蛍を改めて見ると……眼鏡をしていない、薄くお化粧もしている、そしていつもよりスカートが短めで……蛍の細い脚が見えている。そして腕には……俺が贈った腕時計が光っていた。


 「眼鏡じゃなくコンタクトレンズにしたのか?」


 「……へ、変ですか?」


 「いや、似合ってる、可愛いぞ」


 そう褒めたら


 「あ、ありがとうございます」


 嬉しそうな笑顔を見て、あれ?蛍ってひょっとしてお世辞でなく可愛いのでは?と今更気付いた。ナンパされるぐらいには……


 「……とりあえず行こうか」


 「……はい」


 以前の約束通り今度は俺の見たい映画を蛍が付き合うということで。


 「……先輩のいじわるっ……」


 「すまん、すまん。まさかそんなに怖がるとは思わなかった」


 ホラー映画を見たら蛍は上映中目をつぶって俺の手をずっと握って離さなかった。


 「お詫びになんか奢ってやるから……」


 「……じゃ、あれがいいです……」


 そう言って連れていかれたのはゲーセンのプリクラだった。


 「こんなんでいいのか?」


 「……はい」


 一緒にプリクラを撮ったら機嫌がなおった。


 「……ふふっ、宝物にします」


 「……女の子はプリクラ好きだよなぁ、それじゃついでに何かゲームして遊ぶか?」


 「……はい」


 と蛍も頷くので俺も知っているファ○コンを作った会社の有名なキャラクター達がカートに乗って競争するゲームで蛍と対戦した。


 ……ぼろ負けだった。


 お前は配管工だろう!?なんでカートに乗ってるんだよ!!くそう……マッ○ライダーやエキ○イトバイクなら蛍に負けないのにぃぃ


 ……そんな風に二人で遊んで時間が結構過ぎたので


 「……蛍、何か甘いものでも食べて帰ろうか?」


 「……はい、そうですね」


 蛍は少し名残惜しそうな顔をして答えた。


 


 


 


 

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