第4話


 その後、蛍の名前やクラスを聞き出した後に連絡先を交換して簡単にこれからの計画を話した、昼休みを一緒に過ごし放課後も一緒にいる姿をしばらく奴等に見せれば手を出して来ないだろうと。

 蛍が自分から奴等に「私に手を出したら先輩が黙ってないからね」って言えるならそれでも良いがそんなことを言える性格ではないと思われるのでそういう計画にした。

 蛍はその計画を聞いてブンブンと頭を縦に振っていたので了解したってことなのだと思う。


 「……それじゃ、これからは蛍って呼び捨てで呼ぶからな?」


 「……はい」


 つるんでいると思わせるために敬称を付けずに呼ぶことを蛍に了承を得て


 明日から作戦を実行しようと「じゃあ、明日な」と言って帰ろうとしたら……てくてく俺の後ろをついてくる。あぁ、以前もこうだったな……


 蛍は蛍であんな性格だし、以前の俺は少し尖っていた部分もあったから……二人等間隔で黙って歩いて帰ることしかしなかったが……もしやり直せるならもう少し優しくしてやりたかったのでこちらから話しかけることにした。


 「なぁ、蛍は趣味とかあるのか?」


 蛍はいきなり話し掛けられて少し驚き、小動物みたいな動きをした後、少し間があって……


 「……アニメ見たり、漫画描いたり……」


 「……へー、漫画描くのか……ちょっと見てみたいな」


 「だ、駄目です……」


 駄目らしい。

 「まぁ、無理矢理見せろなんて言わないよ」

 そう言って適当に漫画の話やらを少しずつしていたら……少しだけ蛍との等間隔の距離が近づいた気がした。

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