2019 BL 小説の文字数のメモ その2
前回のおさらいですが、BL小説の一シーンの枚数は平均原稿用紙一〇枚、文字数は約三〇〇〇字でした。
なので、中編三万字(原稿用紙約百枚)だと、三〇〇〇〇÷三〇〇〇で約一〇シーン、それを起承転結で割ると一場面につき二~三シーンが使えるということになります。
自分の小説が一シーン何文字で書いているか計算すると、三万字で何シーン使えるかわかります。
私は四〇〇〇~五〇〇〇字で三、四シーン使うので、一シーン一八〇〇字で人よりも細かめです。
中編三万字÷二〇〇〇字で計算すると、一五シーン使えます。起承転結で各三、四シーン使えるとわかります。
長編一二万字(原稿用紙四百枚)を一シーン三〇〇〇字(原稿用紙一〇枚)で計算すると、合計四〇シーン、起承転結一場面につき一〇シーンが使えます。
私の場合だと、一シーン二〇〇〇字で計算して合計六〇シーン、起承転結一場面につき一五シーンが使えることになります。
ではBL小説家さんが一シーン何文字で書いているかというと、人によってかなり幅があります。
短め~平均(二五〇〇~三〇〇〇字)
遠野春日先生、木原音瀬先生
平均~すこし長め(三〇〇〇~六〇〇〇字)
英田サキ先生、和泉桂先生
長め(約一〇〇〇〇字)
榎田尤利先生
一シーンの長さは、カメラのカット割りのようなものです。
一シーンが長い作家さんはカメラを長回しにしてキャラクターの動くようすを追っていくタイプ、短い作家さんはカメラのカット割りを多くして、ストーリーの展開で恋愛を深めていくタイプと言えるかもしれません。
それでは一般の恋愛小説の一シーンが何枚かというと、BL小説より少なめ、約八枚(約二六〇〇字)です。
短め~平均(約一六〇〇字~二六〇〇字)
井上荒野先生、江國香織先生、山田詠美先生
平均(約二六〇〇字前後)
小川洋子先生、唯川恵先生
長め(約二六〇〇~四二〇〇字)
山本文緒先生、村山由佳先生
ここでは考慮していませんが、短編小説は一シーンの枚数が少なめ、長編小説が多めになります。
計算は一冊の本でやっていますが、分母が少ないので、もっと多く分析したほうがいいかもしれません。
一章が長いBL小説は、榎田尤利先生の『交渉人は黙らない』からサンプルを取りました。
一章が短い小説は、木原音瀬先生の『眠る兎』です。
『交渉人は黙らない』
原稿用紙四四二枚 十三シーン 約132600字
一シーンごとの枚数 三四枚 10200字
『眠る兎』
原稿用紙二四五枚 三二シーン 約73500字
一シーンごとの枚数 約七枚 2300字
榎田先生はシリーズ物の第一巻、木原先生は読み切りという違いはありますが、小説の書き方の違いがわかる例として取り上げました。
榎田先生の小説はそれぞれのキャラクターのキャラ立ちがすばらしいです。大きなカメラワークのなかでキャラクターがどのような言動をするかを重視して小説を書かれているのではないでしょうか。
木原先生の小説は、登場人物の感情の変化をすごく細かく追っていて、性格を行動で描写するのが巧みなのでしょう。
BL小説では巨匠であるお二方ですが、小説の書き方はぜんぜん違うのですね。
今回はここまでです。お付き合いありがとうございます。
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