第6話

「橋本くんと良い感じみたいじゃん!」

「そんなんじゃないって。」


昼休み、実咲と2人でお昼を食べていれば、話題は橋本くんの話になった。私の言葉にまたまた~、と笑って私の脇腹をつつく。


「毎日一緒に帰ってるのに何言ってんのよ。」

「それは・・・変える方向が一緒なだけだよ。」


本当にそうだった。ただの友達なのだ、私と彼は。

小学生の時から、ずっと、そう。


彼にとって私はその程度の存在なのだ。

今も、昔も。変わらない。悲しくなるほどに。


「あんまり話したことないけど、いい人だよね、橋本くん。」

「・・・うん。私もそう思う。」

「一緒に話してると楽しい?」

「・・・・・・うん。」


ふーん、とニヤニヤ笑う実咲。無性に恥ずかしくなって、そういう実咲はどうなのよ、と話題を実咲の彼氏の話へと変えた。




私たちの関係は昔と一緒だ。ただの幼馴染、ただの友達。分かっている、分かっていたはずなのに。

・・・私は、浮かれていたのかもしれない。




「俺、来月また引っ越すんだよね。」

「・・・え?」


放課後、いつものように2人で帰路につく。


勉強の話をして、部活の話をして。その続きのように、何でもない事のようにそう言った彼。


突然の言葉に思考が停止する。


「・・どこ、に?」

「北海道だって。笑っちゃうよな。」

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