2327・8・10 1237 モドラー接触
〈モドラー接近! モドラー接近! 上陸します〉
警告が操縦席内に響くがそんな音も聞こえない程に集中している瑠璃がモドラー上陸に向けて狙いをつける。
海の一部に黒い点が現れるとそれはどんどん大きくなり黒い大きな物体が砂浜へと飛び込んでくる。モドラーは泳いだ勢いそのまま海から陸に飛んで上陸を果す。
その勢いは凄まじく砂浜の砂を巻き上げ地響きが鳴り響く。
〈モドラー上陸!! モドラー上陸!!〉
緊迫した通信が入ってくる少し前に引き金は引かれていた。
スナイパーグマの放つ弾丸は先端が鋭くドリルのような溝が彫ってある。その貫通力を最大まで高めた弾丸は上陸したモドラーの左胸から背中を貫通し大量の緑色の血を吹き出させる。
大きくよろけるモドラーの右胸、左足の太股から次々と緑色の血が吹き出し背中から倒れ地面を揺らす。
管制室をはじめとしてほとんどの者が一瞬の出来事に理解が追い付かない中、悔しそうな顔をする瑠璃。
「手応えがない……」
瑠璃が呟くと同時にモドラーの目が赤く光り、跳ねるように飛び起きると真っ赤に燃える口を開く。
「私の勘、最強!!」
モドラーの下顎から拳が掬うように打ち込まれるとその拳は天に掲げられる。
ファイターグマが砂塵を巻き上げながらアッパーを決めた瞬間だった。
口が天を向いたモドラーはそのまま熱線を誰もいない空に向かって放つ。
無防備になった胴体に拳を連続で打ち込んでいく。
「なにこれ!? 硬い!」
ファイターグマのモニターに拳にかかる衝撃が耐久値の限界に近い事を文章と警告が知らせてくる。
「なら!」
ファイターグマをその場で回転させながら軽く跳び上がり左足の裏でモドラーの首を蹴り再び背中から地面に沈めると、モドラーの短い右腕を掴み両足で首と胴を固定し間接技を決める。
痛いのか唸り声をあげながら暴れるモドラーをファイターグマが押さえつける。
バキバキと骨が軋みヒビの入る様な低い音が鳴り響く。
モドラーが下半身を起こし股を通し尻尾を伸ばすとファイターグマの顔面を鞭のように数回叩き右足に尻尾を巻き付けると引っ張り上げる。
「うわっ! しっぽ!?」
強引にファイターグマを尻尾で引き剥がすと砂浜に投げ飛ばし4足歩行の体勢で砂浜から内陸の方へ侵入する。
ダメージを負っているとは思えない素早さでジグザグに動くモドラー。
「狙いをつけさせないってことかよ」
瑠璃がぼやく声が通信に入る中、割り込んでくるアネットの声。
「来やがったデスネ~始末してやるデス」
ファンキーグマがサブマシンガンの銃口を光らせながら伏せるモドラーに銃弾の雨を降らせる。
微量の鮮血があるだけだが、モドラーも鬱陶しいのか立ち上がってファンキーグマに対峙しようとする。
「サブマシンガンではダメージ入りませんデスヨ」
サブマシンガン本体をモドラーに投げつける。それをかわすモドラーの左目にナイフが突き刺さり大量の血を撒き散らす。
目を押さえ吠えるモドラーに換装したショットガンの銃弾を連続で撃ち込む。
ダメージは低そうだが勢いで後ろに押されるモドラー。
「ポイント到達デス!」
ファンキーグマが建物触れると操縦席のモニターに操作盤が現れる。一瞬の間にそれを操作しながらファンキーグマで攻撃を続け銃弾を放っていく。
「アンカー射出デス!」
地面や建物に設置されていた装置から無数のアンカー射出されモドラーの体に食い込ませ縫い付ける。
「ルリリ!」
ファンキーグマを射線軸を避けさせながらアネットが叫ぶとほぼ同時にモドラーの頭、腹、左足から緑色の血が吹き上がる。
「くそっ! これでもダメか。貫通力が高過ぎてダメージが一点過ぎるのか」
瑠璃が愚痴る中、スナイパーグマの攻撃の間に地上に設置してある迎撃システムをアネットが作動させ対モドラー用ミサイルを撃ち込む。
舞い上がる埃と煙の中モドラーの右目が光ると口から熱線を放つ。
地面から次々と分厚い鉄の壁がせり上がってきて熱線に撃ち抜かれながらも勢いを殺して最後には掻き消してしまう。
「甘いデス!」
操作盤を操作しながらファンキーグマで散弾を放ち移動していく。
モドラーが自身の肉引きちぎりながらアンカーを外すと周囲を見渡し警戒するような素振りを見せる。
「私リベーーーーンジ!」
モドラーの背後からファイターグマが飛び付くと右手の爪をモドラー右目に突き立てる。
ファイターグマを振り払おうと激しく暴れるモドラーが伸ばす手をスナイパーグマの銃弾が阻止する。
「スプラッタにいきますヨ」
巨大なチェーンソーを振りかざしファンキーグマがモドラーの尻尾を根本から血飛沫をあげながら切断していく。
「なんて硬い骨デスカ!?」
尻尾半分まで刃が進んだところで刃が骨に当たり刃の方が磨耗して切れ味が鈍くなるとチェーンソーを投げ捨て傷口に銃弾を撃ち込む。
「ぬぬぬぬぬっ!! 硬い、硬いデス!!」
モドラーが激しく暴れ頭を掴んでいたファイターグマが降りほどかれ、ファンキーグマは半分千切れている尻尾に足をすくわれる。
「爪が折れた!?」
「なんデスト!!」
アネットがファンキーグマの体勢を建て直しながら叫ぶ。
「ルリリ! 地面を撃ち抜くデス!! シズズ3番で武装換装するデス!!」
ファンキーグマがモドラーの左足を後ろから払うように蹴ると同時にモドラーの足元が撃ち抜かれると地面が崩れ基地の地下部分へと陥没しモドラーの右足が沈み背中から倒れる。
「大人しくしやがれデス!」
ファンキーグマがモドラーの左足に関節技をきめるとモドラーが口を開け吠える。
「ドリルはロボットのロマンってね!!」
右手にドリルを装備したファイターグマがジャンプしながら大きく開く口にドリルを突っ込み高速で回転させる。
緑色の血を大量に巻きながらドリルは激しく回転する。その間にモドラーの腹部に何発もの銃弾が食い込み血が舞い上がる。
「いい加減に終われえぇぇぇぇぇぇ!!」
ファイターグマを緑色に染めながら寧音が叫ぶ。
ドンッ
鈍い音が響きドリルの音が肉や骨を砕く音から地面を削るような音に変わる。
頭部が完全に破壊されモドラーが沈黙する。
「お、終わった?」
〈…………モドラーの生体反応消失。討伐完了です〉
「あぁぁもうむり」
「終わったデス……」
「……」
3人が勝利の余韻に浸る余裕もなく操縦席に倒れこむ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます