深夜散歩

ヘイ

第1話

 人は良く見えないものに恐怖する。

 それは先行きであったり、暗闇であったり、幽霊であったり、木々の揺れる音であったり。

 まあ、だからこそ、田舎の深夜は恐ろしいと感じるのは当然。灯は少なく、あたりは田んぼが囲う。墓場も近く、想像を掻き立てるには十分すぎるほど。

 ガサッ。

「ーー!」

 手に持ったスマートフォンのライトで道を照らしながらゆっくりと振り返るが、どうやら稲が風で揺れたようだ。ここには熊も出没するために、それ相応どころかとてつもない恐怖を感じながら歩いている。

「くっそ、しくじった!何でこんな時間帯に買いに行こうとしてんだ!」

 誰もいない。

 それが酷く怖い。暗い中で一人歩く。静かなこの時間は何よりも恐ろしい。

「あー、もう帰りたい。何で来ちゃったのかな」

 一人で呟いてみても、余計に恐怖が増していくだけ。

「田舎やだよー!」

 田んぼ。

 どこをみても田んぼと畑。後、墓。

 とにかく電灯も少なく、精神的にやばい。それに田舎には幽霊の噂があるし。

 ヒュウウウウウウ。

 一段強い風が吹いた。

 ガサガサガサ!

 そしてその風に煽られて、木々が稲が強く揺れる。

「よし、今日は帰ろう!」

 俺は恐る恐る振り返って、全力ダッシュで家まで走った。

「はあっ、はあっ!怖い、怖すぎて死ぬぅ……!」

 家についても、家の中に入るまで安心できないとは相当、俺もやられたようだ。もう二度と深夜の田舎で外に出ません。

 

 

 

 田舎あるある。

 夜一〇時になると外がもう真っ暗。


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深夜散歩 ヘイ @Hei767

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