朱色の境界線
ぱるぱす
第1話朱色の境界線
この感動を、激情を、高ぶりを、僕の見たままに伝えることができたのならどれだけ素敵なことか。
僕は最近、空に興味を見興味を見いだしていた。
ずっと空を眺めていると、不思議と僕らの住むこの世界とは似ても似つかないくらいの、いいや、手の届かない非現実さを感じる。
ある時はゲームで見ている映像のように、またある時は自分自身が空と一体になったようにその大きさを感じる。
空がどのような顔であっても、僕はそれを美しいと感じるだろう。
そして、その顔を作っているのが雲や月、太陽だ。
雲が覆いかぶされば、空は悲しげに映るのだろう。
けれどその景色は静かで僕らに落ち着きを与えてくれる。
それに加えて、雲が徐々に晴れ、空から一筋の光の線が地を照らす。
この光景のなんと素晴らしきことか。
実際にその景色を目撃した僕のとてつもない感動を覚えている。
何かしらの形で間接的に見て、それ自体は知っていたのだが実物となるとこうも違うのだと、そのとき思い知らされた。
その後の雲一つない空も、また圧巻だ。
自分が飲み込まれるという錯覚も起こしてしまいそうな程に。
雲も空を飾る要素としては、とても素晴らしいものだ。
だが、僕が一番好きな空は夜と朝の境目だ。
夜の間に空に散りばめられる星も、何かと儚く我々を別次元へ誘おうとする。
しかし、時が過ぎ次第によるという時間帯は終わりを迎えようとする。
段々と太陽がその姿を露わにし、月は沈みゆく。
暗がりの群青が朱に変わる時、そして僕を照り付ける太陽。
僕はそこに天を感じた。
群青と朱が交じり合い曖昧になった色と太陽の輝きで飾られた空。
それはあまりに神々しく、僕自身を忘れさせるほど強烈で、けれどもどこか優しく感じた。
これこそが世に云う天の姿なのだと実感し、また願った。
この景色をまた一度見られたのなら、その時は、
僕が人生で一番大事にしたいと思える人と見てみたいものだ。
そして、この感動を一緒に味わいたい。
朱色の境界線 ぱるぱす @yakusokunoyoru
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