家庭教師と少年王

阿井上夫

算数その一 「問う」

 王位を継いだ若き者、神に対して敬虔なる者、偉大なる太陽神アメンの如き王、神の子孫、太陽が勝利を与えし者、太陽の息子、ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――の治世第三年。

 この年、アエトスの息子アエナスはアレキサンドロスの神官であった。


 エジプト暦にして、アヘトの第二月第十三日。

 アエナスがツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――に問う。

「ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――よ。ここに私が問うことをお許し頂き、その慈悲深きお言葉を賜りたく存じます」

「如何なることか。汝が問うを許す」

「ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――よ。


 ここに畏れ多くも天空と太陽の神ホルスのウジャトの目がひとつと、

 太陽神ケプリの化身たるスカラベがひとつございます。


 それを併せることによりて現れたる万物のことわりは、如何なるものに相成りますでしょうか」


( 続く )

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