DD:Dディラックディディディディ/ディディディDEDE/DODA
「……お前さんとか。何だろうなあ、こいつぁ」
「アオナギ」という名の、どことなく外観だけは不穏さを全身に巻き付けたかのような痩せぎすの男と対峙する。
耳元で翻訳されてくる音声も、どことなく実際に発せられている音声やら、醸されてくる
「『
俺の言葉はどうやら訳されることは無いようで、カタコトを喋らされてはいるが、運営の片手落ちというところだろうか、それとも費用節約か、裏に何事かが伏せられているのか。
……いかん、どうとも物事を真っすぐに見られなくなっている。
「……お前さんに恨みは無え。どころかむしろ感謝すらしている。赤の他人に手を貸すなんてこたぁ……この国ではイレギュラーもイレギュラーなことだしな。さっきはありがとうよ」
気が抜けたようなしゃがれ声だが、こちらをねめつけてくる濁った目には、敵意やらは認められなかった。先ほどの青年氏とは友人なのかどうか問うと、この場でたまたま会った、まあ即席の「相棒」だがよぅ、との言葉が返ってきた。
何となく、好感の持てる男だ。かと言って、これから「戦う」相手であるということに、不思議とネガティブな感情は抱かなかった。
俺が負けても、この男に託せる。俺が勝つのなら、この男の分まで。
そのような、妙な仲間意識のようなものが芽生えている。何故か、それはまったく自分でも理解は及ばないものの。そしてそれとは真逆的な、どうとも拭えない不穏な空気を、何とか受け止めつつ、俺は「対局」の場へと静かに歩み出ていく。
初期にはホールの大部分を占めていた「ボウル」の列も、あらかた片づけられており、今や「正五角形」を描くように間抜けな間隔を開けられて5つが点在するばかりだ。
【169:544422】(28)
【042:933321】(33)
やるならば、やるまで。まっとうするまでだ。
清々しさ……先ほどからクリアになっていた「意識」が、また一段と、澄み渡っていくかのようだ。その反面で、それがおそらくは「放たれて」いくのだろうことを、俯瞰したような視点が、そう自分に告げて来るようでもあり。しかし俺はもはや何も思考せず、意識の流れに沿うままに、自分にあてがわれた藍色の
アオナギ【4-4-2-2-4-4-5-4-2-】
レノマン【2-3-1-3-9-3-3-2-2-】
淡々と、極めて淡々と「対局」は執り行われていく……最強の【9】で一度は「4対6」と逆転したものの、それからはしかし、徐々に俺の側が、押し込まれ気味に。
「4対1」。風前の灯。
ふと頭に浮かんだのは、「21」という数字。思えば、合計してのこの数字に、俺らは踊らされてきた。転がされていたのかも知れない。それでも気圧されることなく、俺はまた賽を振るい投げ入れていく。と、
ふと顔を上げて見合った、「ボウル」の向こうのアオナギの顔。その濁った両目が一瞬見開かれると、「モクセイ……ニジュウイチ……?」との、よく意味の分からない言葉がその口から感情無く零れ落ちるのを確かに聞いた。
瞬間、透明な半球に投げ込まれた紅色と藍色の立方体が、互いに寄り添うようにして静止していることを視認し、
その出目は【4】と【3】。俺の最後のライフが削られたことを示していて、
次の瞬間やって来た、途方も無くでかい波濤のようなものに、俺の意識は攫われていて。
あ、と思った瞬間には、暗いくろい粘せいのえきがかお
を、
さらっ
てDEDEDEDEDEL
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます