白い鯨の漂う空

月白藤祕

第1話 ここはバーチャル?それとも異世界?

その日も賑わうとある遊園地。

そこにやってきたのは、仲良し3人組の高校生の女の子達でした。


元気いっぱいな夏菜子、笑顔の可愛い沙織、二人にいつもくっついてる凛。3人はどこに行くにも一緒で、いつも仲良しな3人でした。


今日こそは全部乗り尽くすぞと張り切る3人は、前回やってきた時に雨天のため、全ての乗り物に乗れなかったことを悔やんでいました。


今日は晴天、降水確率も0。風は強くないから止まる心配もない。3人のやる気は満ちておりました。


前日までにアトラクションの回り方を決めてきた3人は、そのマップを手に次々と制覇していくのでした。


昼過ぎにはあらかた乗り終え、ベンチで休憩していると夏菜子が、ここにあるクレープが食べたいと言い出しました。それは園内の端の方にあるクレープ屋さんで、二人はこんな場所にクレープ屋さんなんてあったかなぁと首を傾げました。しかし、夏菜子が行きたいのであれば、他に目的もなくなったので行ってみるのもいいかと思い、3人は向かいました。


クレープ屋に向かっていると、見覚えのないアトラクションが見えてきました。それはパンフレットにも載っておらいないが、とても楽しそうということだけは、外観から伝わってきました。


3人は興味津々で近づいていきました。

近づくと、アトラクションの受付のお兄さんが3人に向かって説明を始めました。

「このアトラクションは、行ったこともないような世界のバーチャル空間を味わえるよ!とても美しい街に優しい人々。楽しすぎて帰ってこれなくなるかもしれないくらいだよ!ぜひ!体験していってね?」


そのお兄さんは帽子を目深に被り、日常生活で出会っていたならば不審者に間違ったかもしれないが、ここは現実とは隔絶された遊園地。お兄さんがあんまりにも楽しそうに言うので、3人の興味をそそりました。夏菜子が私乗りたいと一番に手を挙げ、ほかの二人もそれに続きました。


3人がお兄さんに入ることを告げると、お兄さんは黒幕を潜っていくように言う。3人は言われたとおりに潜り抜けた。


その3人が幕の向こうに消えていく時、その男がにやりと笑ったことは、貴方しか知らない。


黒幕をくぐると狭い道が10メートルほど続いており、周りは黒い布に囲まれておりました。夏菜子と沙織は楽しそうに走り出し、道先のカーテンをばっと開きました。凛は幕を潜ってから何故か足取りが重くなっており、ゆっくりと二人のあとをついていきました。


先に行った二人は、わぁと感嘆の声を漏らしていました。それもそのはず、ヨーロッパのような赤いレンガ積みの建物が並び、街を歩く人々はいろんな世界の民族衣装を纏っているのですから。

統一された街に多種多様な人々。そして、バーチャルにしてはやけにリアルであると感じ、凛は少しばかり怖くなりました。


二人はゆっくり歩く凛の手を掴み、色々見て回ろうよといいます。凛は二人に心配をかけまいと笑って、そうだね、行こうといい、カーテンの向こう側に足を踏み入れました。


ここから凛の運命が変わることを予測できた者など、どこにもいないことでしょう。

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