第2話

「・・・っ痛・・・」


突然、頭に激痛が走り、俺は目が覚めた。


「・・・どこだ、ここ?」


体を起こして、まわりを見たが、辺りは真っ暗で自分の体も目には写らなかった。


俺は着ていた上着のポケットを探った。


“ガサッ ガサッ”


すると中にあったのは

【タバコ・Zippoライター・携帯電話・財布・見知らぬ鍵と少しシワのついた紙切れだった。】


まず俺は、携帯を開いた。


“ピカッ”


暗闇に慣れていた目のせいか開いた携帯の光が嫌に眩しく思えた。


「・・・10月7日土曜・・・16時19分・・・」


「・・・っえっ!16時!?」


まだ日は落ちてないはずなのに、一滴の光も感じられない状況に俺は感じたことのない不安を覚えた。


物音ひとつしない暗黒の世界・・・・・・


俺は立ち上がり周りを見回し叫んだ・・・


「・・・お~い・・・

・・・誰かいるかぁ~・・・

・・・お~い・・・・」


「・・・・・・・・。」


返事はない。


俺は助けを呼ぼうと、番号をかける為に開いた携帯画面を見た瞬間、左上の文字に気付いた。


「くそっ・・・!圏外かよっ・・・」


俺は急に強烈な孤独感にさいなまれた。


もう一度しゃがみ込み床に座った。


俺は持っていたタバコに火を点けた。


“カチンッ・・・”


“チャッチャッチャッ”


“ボッ・・・”


「・・・ふぅー・・・」


俺はいつものようにタバコに火を点けライターをポケットにしまおうとしたその瞬間・・・・


「・・・ん?誰だ、これ?」


それはさっき自分がポケットから出した紙切れだった。

暗闇の時には分らなかった紙切れの正体が、タバコをつける為に使ったライターによってそれが何なのかがわかった。

そこには、2人の子供とその母親らしき人物が写った家族写真のような物だった。


「・・・ん゛~ん・・・・」


いくら考えても、そこに写し出された人物に見覚えがない。

だが、どことなく自分の子供の頃に面影がある気がした。

ふとその写真の裏を見た。


「なんだ、これ・・・」


【現在地・・・K/Z・・・048/100・・・】

【ヒント・・・A/Z・・・001/100】

【出口・・・*/Z・・・***/1*0】


そこには意味不明の英数記号が書かれていた。


出口のところがシミになってわからなくなっているのが気にかかったが…、全く意味不明の文字にその不安もすぐに消えた・・・・・・。


俺はしばらくタバコを吸いながら、自分がなぜこんな所にいるのか考えていた。


思い出せない。


不安だけが俺の頭の中でとびまわっていた。

俺は、今では当たり前のように付いている携帯電話のカメラ機能を起動させ、ライトをONにしてまわりを照らした。


俺のいるこの場所は、学校の廊下のような長い通路だった。


携帯のライトでは3メートルぐらいの距離しか照らせなかった。


だが、その先が長いというのはさっき叫んだ時に感じていた。

俺は立ち上がった。

そしてタバコの火を消しもう一度、叫んだ。


「お~い・・・」


「・・・・・・・。」


やはり返事はない。


ふと画面を見ると携帯の電池が2個になった事に気付いた。

俺は慌ててライトを消し、代わりにライターを点けた。


「あぶねぇ、電池が切れたらもし電波のある所に出ても電話かけられないからなぁ」


“・・・ヒューューウゥー”


「!」


突然、後ろから風が吹き、ライターの炎が大きく揺れた。


「風・・・?」


俺は決断した。


「じっとしてても始まらねぇな」


溜め息まじりの言葉が俺を前に進ませた。


風の吹く方ヘ。


携帯の電波があるところを・・・


出口を求めて・・・




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