第7話
職業斡旋所には受けることの出来る依頼の難易度によってランクが分けられており一番右のカウンターに近い場所にはこの街で受けることができる最高難易度のAランクの依頼が貼られ、まだ受注出来ないのか掲示板を覗くプレイヤーの数は少なく覗いている人も単なる冷やかし程度に依頼書を見ているようだ。
そこからドンドン左に進んでいくほどにBやCランクの依頼とプレイヤーが増え、一番右端に貼られているFランクの依頼付近にはプレイヤーがわんさかと群がり様々な依頼を物色していた。
私もその群れに加わり依頼を探すことにした。
条件としては私のようなゲームを始めたばかりの初心者でも出来そうで報酬がおいしい依頼。
後、やっぱりファンタジーな世界なのだからこういう世界でしかできない依頼がいいな。
私は気になる依頼書を掲示板から剥がして内容をよく確認して最終的に3個まで依頼を絞った。
[討伐:スライム]
依頼内容は東の草原にいるスライムを倒してアイテムである『スライムの核』を5個斡旋所に渡すというものだ。これは(不本意ながら)ラージットと戦って戦闘の経験があるのでなんとかできそうな感じがする。
ただ、依頼を1日で完遂しなければならないのと、弱いモンスターだからか成功報酬として貰えるお金が750クレジットと少なめでスライム討伐にかかる労力に対して報酬が少ない気がするのがネックだ。
ちなみにラージット討伐の依頼書もあったがラージットをテイムできるまではあまりラージットを狩る気にはなれないのでやめておいた。
[採取:下薬草]
これは依頼書の通り『
しかし採取なんて現実でもやったことがないので些か薬草を見つけたり傷つけずに採取する事ができるのか不安ではある。
もしかしたら一週間と書かれているのは薬草は見つけにくいものだからかもしれない。
[手伝い:屋敷の清掃活動]
内容としてはモノの街外れにある屋敷の掃除を手伝うというもので、報酬も500クレジットと他の低ランクの依頼と比べても安く、それ故に不人気なのか他のプレイヤーも手を付けず一番端っこに押しやられていた。
気になるのは『清掃で出た廃棄物、調度品類は譲渡します』という一文で、どうやら屋敷の物をなんでも持って帰れるから宝探しみたいなことが出来るのかもしれない。が、人気の無さを考えるとお宝の類はほぼ全て持っていかれているとみて考えた方がいい。
ただ、「もしかしたら珍しいお宝があるかも」と一抹の望みにかけてみるのも悪くはない。
この他にも低ランクだと皿洗いだったり、宿屋の客室清掃といった街中の雑務系の依頼も多いが流石にファンタジーの世界に来てまでやる事なのか甚だ疑問だ。
一体このゲームは何を目指しているんだか。
このゲームの方向性は置いておいて、問題はどの依頼を取るかだよね。
うーん、ぶっちゃけどれでもいい気もしなくは無いしここは適当に決めてしまおう。
私は目を閉じて掲示板から取った3枚の依頼書をシャッフルした。
よし、受注する依頼はコレにしよう
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