魔導騎士(ベルムバンツェ)~ゲルハルトの鍛錬~

有原ハリアー

第一節 再会

「着いたか……。さて、父さんはどこにいるかな」

「ここにいるぞ」


 “天界”に到着して早々のゲルハルトとパトリツィアを出迎えたのは、ゲルハルトの父アルフレイド・リッテ・ゴットゼーゲン、そしてその妻――シュランメルトの母にして、パトリツィアと同じ“わり”――であった。


「父さん! どうしてここに……いや、Asrielアスリールから話を聞いたか?」

「その通りだ、ゲルハルト。話は聞いている。ならば、何をすべきか分かっているだろう?」

「ああ。広いところに行こう。ここでは少々狭いからな」


 四人はしばし歩き、これからする事に相応しい場所へ向かった。


     *


「ここならどうだ?」

「手頃だな。始めるとしようか」

「ああ。積もる話もあるが、終わった後でも良いだろう。今、おれは、全力の父さんと戦いたいのだからな」

「私もだ。私を倒し、そして更に成長を積み重ねてきたお前の力、見せてほしい」


 闘志を燃やすゲルハルトとアルフレイドは、それぞれの伴侶が寄り添ったのを確かめてから、同時に告げる。


「来いッ! アズリオンッ!」

「来てくれ。アズリオン!」


 刹那、突風がふたつ巻き起こった。

 それぞれの突風の中心には、漆黒の魔導騎士ベルムバンツェ――Asrionアズリオンが、2台立っている。




 いよいよ、特訓が始まろうとしていた。

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