孤独なオレと孤高な世話焼き女神様
つがん
第1話 序章
薩川沙羅先輩…
孤高の女神様と呼ばれている、ウチの学校の生徒会副会長。
とある理由から孤独を余儀なくされてきた俺と、自ら孤高を貫いてきた女神様。
そんな彼女と俺の、不思議な距離感で続く関係が、転換期を迎えようとしていた。
そもそも、何故いきなりこんな展開になったのだろうか?
先輩は今まで恋を自覚したことがないのだから、戸惑うのは当然だと思う。
でもどうせ伝えることになるのなら、もっとゆっくり、丁寧に伝えたかった。
こんなに急な話では…
図らずも俺の本音を聞いてしまった先輩は、恥ずかしそうに赤い顔をしたまま、それでもしっかりと、俺を真っ直ぐに見つめている。
「高梨さん、私は自分のこの気持ちが恋なのか分かりません。でもこれが恋だと言うのなら、それは他の誰でもないあなたに…私は恋をしたいのです。ですから…」
沙羅先輩はそこまで言うと、とびきりの笑顔を見せて…
「私に、恋を…」
そして…
精一杯の答えを、俺にくれるのだった…
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「ぎゃはははは!」
「こいつ、ホントに来やがった!!」
「ごめんね〜、期待しちゃった?」
「カワイソ〜」
なぜか笑い者にされ、俺は拳を握りしめる。
…ダメだ…ここで手を出すな…繰り返すな…
「せっかく来てくれたんだし、言ってやれよ」
「しゃーないなぁ…ずっと前からあなたが好きでしたぁ!!」
「おっとぉ衝撃の告白だぁ」
「ほれ、返事してやれよ」
こいつら、俺がこのまま黙っていると思っていやがる。
そんな訳ないだろう
「ふざけ」
「随分とくだらないことをやっていますね」
!?
突然後ろから聞こえてきた声に少し驚き、思わず振り返る。
屋上の出入口付近に、一人の女生徒が立っていた。
誰だ?
「なぜ小学生がこの学校に来ているんでしょうね?」
少し離れた距離でも何となく気付いていたが、ゆっくり近づいてくる姿を改めて見ると、驚きが大きくなってしまう。
こんなに綺麗な人を見たのは生まれて初めてだから…
TVで見るアイドルや、雑誌のモデルなんて全く目じゃない。この人、とんでもない美人だ。
でも…そんな外見よりも、俺が気になっているのは彼女の目。
どこまでも冷たく、完全に相手を見下しているような、汚い物でも見ているような、そんな視線をバカ共に向けている。
ひょっとしなくても、かなりキツい性格の人なんだろうか?
それにこの人…どこかで見たような…あ、思い出した。
この前の学校集会で少し見た、確か生徒会の副会長さん。
「うっひょう、この距離で話せるなんてラッキーだぜ」
「は? 小学生?」
「いや、何の話ですか? 薩川先輩?」
「…面倒臭い。もういいです。屋上は特別な理由のない限り、生徒の立ち入りは禁止ですよ。早く教室に戻りなさい」
「はーい、気を付けま〜す」
「おい、行くぞ」
「えええ、もうちょっと話を」
「いいから!」
副会長から注意を受けて、バカ共は特に反発をすること無く素直に帰って行く。
ゾロゾロと連れだって、屋上のドアから真っ直ぐと出て行った。
だから、この場に残っているのは俺と彼女だけだ。
「あなたも戻りなさい」
「はい、すみません…」
どことなく、あいつらよりはマシに思えた声音で注意されて、俺も早足でこの場を立ち去る。
…これが、孤高の女神様と呼ばれる生徒会副会長「薩川沙羅」と、孤独な男「高梨一成」の最初の出会いだった。
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初めまして。
なにぶん初心者な上に物書きの知識が全くありませんので、かなり色々と至らない点が存在していると自覚しております。
所々、修正した箇所はありますが、基本的にそのままなので、読み辛かったり破綻していたりすることも多々あるかと思います。
その点をご承知の上、お読み頂けますと幸いです。
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