3 占い大臣、怖がられる
「で、実際の所どうなんですの?」
ミーシャがそう訪ねると腰巾着は、どこか自身なさげに答えた。
「……はい、一応占いである程度把握していたんですよ。最悪頭を下げにいかないといけないとは思ってましたからね。ミーシャさんの言う通り、移民云々の理由は後付けです」
「……えぇ」
ていう事はなに? この腰巾着の占いの制度マジな奴なの!?
いや、偶然……偶然だと思いたい自分がいる。
だってそれもう、半分人の域を越えたとんでも技能だし!
後は……この腰巾着がそんな凄い奴だと認めたくない私がいる!
「よ、よし! アンタの言葉を信用する為に一つテストといこうよ! 本当にそんな滅茶苦茶な占いができるかどうか!」
「て、テストですか?」
「……なんか妙な展開になってきたっすね」
「ちょっと面白いから良いんじゃないですか」
後ろの二人が少々楽しみ出す中、私はそんな二人に指を指して腰巾着に問いかける。
「この二人の素性、ぼんやりとで良いから分かったりする?」
「あーなるほど。確かに私達とは完全に初対面な筈だし、占いの精度測るには丁度良いかもしれませんね」
「でもさっきからいつ此処に来るか、とか何処に向かったか、みたいな占いだったっすから、ボクらが何者かってのはある意味ジャンル違いな気がするんすよね」
「た、確かに……」
ちょっと無茶振りしすぎたかも……。
「お題変える?」
「い、いえ一応やってみます。これうまくできたら、何も企んでないって理解してくれるかもしれませんし……いやあんまり自信ないんですけど」
そう言った腰巾着は、ポケットからタロットカードとトランプと、最早名称不明なカードから小さい羅針盤みたいな物と、どんどんと色々な物を出してそれから言う。
「とりあえず1分と47秒程お待ちいただけますか。ちょっと簡単にはいかなそうなんで」
「えらく細かいっすね……」
「変な所で誠実なんですかね」
「普通に1分50秒とかで良い気がしますわ」
「まああの馬鹿の取り巻きだから、どこかしかネジ飛んでるんでしょ」
「仕方ないとはいえ、アンナさんからの当たりが強い……いや此処まで殴られてないだけでもマシかぁ……」
ブツブツ言いながら腰巾着は物凄い手際で占い道具を動かしていき、そして。
「と、とりあえず出ました」
どうやら占い結果が出たらしい。
「ちなみにボク数えてたんすけど、マジで1分47秒でしたよ」
「有言実行って訳ですね……その時点でなんか凄い気がします」
「で、肝心の占い結果はどう?」
私がそう訪ねると、腰巾着は自信なさげに言う。
「あの、一応出たんですけど……これ多分外れている気がするんですよ」
「というと?」
「いや、流石に無いかなぁみたいな結果が出まして」
「……」
なんだろう、その前置きな時点で色々と察してしまう。
実際二人ともそういう感じだし、うん。
そして腰巾着は言う。
「お二人共それぞれどこかの国の大事なポストに着いていたりしていないですかね。例えば……なんでしょう。国防関係の……」
「「「「……」」」」
うん……これは、うん……あれだよ。
「すみません、ほんとこんなざっくりした事しか分からないんですけど、多分違いますよね。そんなポストに着いていたにしては若すぎるし、その若さで可能性があるとしたら聖女とかになるんでしょうけど、じゃあ何故此処にいるのかって話になりますし……ほら、ウチの国みたいな事って基本無いでしょう? あってたまるかというか……」
そんな説明を聞きながら……自然と、私達はミーシャの後ろに隠れる。
「ど、どうされましたか?」
「いや、ね」
「なんというか……あれっすよ」
「……凄いを通り越して怖くないですか?」
シルヴィの言葉にシズクと共に頷く。
うん、認める……コイツマジな奴だ。
マジだからこそ怖いんだけど、なんだお前。
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