32 黒装束の男、推測
「え、いや、ちょ……ちょっと待って! ど、どういう事? えぇ……」
突然の謝罪に困惑する私。
いやするでしょ困惑。無理だよ自然に流すの!
そして困惑する私にミーシャは言う。
「何故困惑しているのです? どういう事も何も、あなたは私達に酷い仕打ちを受けた。だから謝罪されている。あなたがその後どうするかは悩みどころかもしれませんが、この行為事態におかしな所など何も無いでしょう?」
「い、いや、おかしいんだって……お、おかしいよねこの状況! ねえ!」
同意を求めるように皆やルカ達、マフィアの皆さん達に視線を向ける。
うん、全員同じ感じだ。
程度は違えど皆困惑してるよ……だって。
今私のとこを含めた五か国で聖女をしている人間は、世界規模で何かをやろうとしている敵の可能性が高いのだから。
と、そこでルカが口を開く。
「ベルナール。正直あまり事実であってほしくは無いんだが……俺達はそもそも前提条件からして間違っていたのかもしれない」
「どういう事?」
「俺達の国は聖女の追放を試みる女が現れてからおかしくなった。そして同時期にお前達聖女四人がそれぞれの国から追放されている。これは普通に考えれば同一の事件として考えるべきだろう。だが……本当にそうだったのだろうか?」
「ちょっと待ってください。各国のって、アンナさん以外にも──」
「見ての通りベルナールの後任はこんな状態だ。先日の一件と聖女追放の件に関係があるとすれば、この場に大きな戦力が集結している事は知っている筈なのに、一人で来ているという点からしておかしい訳だが、これまでの言動を考えるとそもそもあの一件と無関係なんじゃないかとすら思える」
「た、確かに悪い人には見えないけど……」
それに私以外にも追放された聖女が居るって事にマジで驚いてるみたいだし。
「そして俺達の国とは違い、お前の所の国はまだ元の結界が維持されている。加えてその……なんだ。お前の所の王は、本当に私利私欲で聖女を交代させてもおかしくないような人間なのだろう? つまり……つまりだ」
ルカは少々言いにくそうに私に言う。
「ベルナール。もしかしてこれお前だけ全然関係ない一件に巻き込まれていないか?」
今までの前提を大きく覆すような発言を。
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