31 新旧の聖女、対面
それから私達はしーちゃんの案内で事務所の中を進んでいく。
「それで、しーちゃんはどういう経緯であの聖女と出会ったの?」
「ん? 偶々独り言を言ってるの聞いて、あ、これ絶対例の奴じゃんってなってさ」
「とんでもねえ偶然だなおい」
「色々と巻き込まれまくってるだけありますね」
「流石というかなんというかって感じっすね……」
うん、良くも悪くもしーちゃんらしいや。
「それでしーちゃん。今の時点で何か話とか聞いたりしたの?」
「詳しい話は何も聞いてないよ。そういうのはあっちゃん達が来てからって話で、あの女の人にも此処の皆にも待ってもらってる」
「そっか」
「ああ、でも一つ。これはウチの直感の話なんだけどさ。一つ良い?」
「うん、言ってみてよ。しーちゃんの直感って結構当たるし」
「うんじゃあなんだけど……少なくとも悪い人には見えないよあの人。立場上滅茶苦茶怪しい人なのは分かるんだけど」
「悪い人には見えない……か」
もし本当にそうなら、今色々起きている事とは無関係になるって事なのかな?
そしてあの馬鹿はガチのマジでそういうヤバイ人事をしているって事になる。
色々新情報を仕入れる中で、いくらなんでもそれ無いんじゃないかってなってるけど、もしかしたら……いや、うん。どうだろ。
「……まあその辺は実際顔合わせて判断するよ」
とりあえず実際顔を合わせればその辺もある程度はっきりするんじゃないかな。
と、そんな風に色々と一応気になっていた話を聞いた所で、しーちゃんは扉の前で立ち止まる。
「到着っと」
「あーやっぱこの前の応接室っすね」
「そだね。どう転ぶか分からないけど、一応お客様な訳だからさ」
そう言いながらしーちゃんは扉を開く。
「あっちゃん達到着したよー」
そう言いいながら先導するしーちゃんの後を付いていき、私達も入室。
そして……肉眼で捉えた。
「どうですか? あの……なんというか、凄いプロポーションな女の人、アンナさんの後任の方……なんですかね?」
「うん、そうだね。私の後任」
間違いない。
視界の先でマフィア達に囲まれているにも関わらず落ち着いた様子でソファーに座っている、なんか腹立つ体型の女は……私の後任の聖女だ。
確か名前は……ミーシャだったかな?
……うん、滅茶苦茶落ち着いてるね。
部屋の中に居る人達、ルカとミカ以外は言っちゃ悪いけど関わっちゃいけない感じの風貌してるのに。
凄い胆力……とでも言うべきなのかな。
それが余計に怪しさを倍増させる。
そしてその怪しさ満載のミーシャはゆっくりと立ち上がった。
そして目が合う。
とても真っすぐな眼差しで、そこには強い意思の様な物を感じる。
そしてそんなミーシャは口を開いた。
「アンナさん……で良かったかしら?」
「うん、そうだけど……なんの用かな? 態々こんな所にまで来て私に何の用?」
「……回りくどい事を言っても誤解を招くだけです。早速本題に入らせていただきますわ」
そう言ってミーシャは……深々と頭を下げた!?
そして言う。
「傍若無人で失礼にも程がある事をあの馬鹿があなたにした件について、深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした!」
全く想定していなかった、予想外にも程がある謝罪の言葉を。
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