7 聖女さん達、見える

 今回回収する忘れ物っていうのは、まあ本当に忘れ物って感じの物。

 以前此処を最後に出るタイミングで鞄を忘れていったらしく、大したものが入っていないからと思って諦めていたらしいけど、今になって大事な物が入っている事を思い出したとか。

 それで冒険者に回収を依頼した訳だ。


 ……ってな訳で、割と最近までは人の出入りが有った訳で。


「中は割と綺麗ですね」


 中に入ってすぐにシルヴィがそう言った通り、中は良い感じに綺麗なお屋敷って感じである。


「破棄した別荘って事なんで勝手に古めかしくてボロボロな感じをイメージしてました」


「ああ、ボクもそんな感じっすね……それこそアレが出てくるような」


「アレってなんだよアレって」


「……Gとか?」


「いやそんな生々しい物じゃなく……」


「分かりました。おばけですね」


「そう、それっす!」


「確かに私もそういうの出るのかなって思ってました!」


 シルヴィとシズクはノリノリでそんな事を言う。

 ……おばけって、二人共子供だなぁ。


「いる訳ないじゃんそんな非科学的なの」


「だな。俺もアンナと同感」


 お、どうやらステラもこっち側っぽい。


「えーボクはいると思うんすけどねぇ」


「そうですよ。偶に聞くじゃないですか。ポルターガイスト現象とか。世の中結構ホラーな事ありますよ」


「それ誰かが魔術でいたずらしてるだけじゃないかな」


「……というかホラーって聞くとシルヴィの寝相が真っ先に浮かんできて、もう幽霊とかそんな事に頭回らねえんだよな」


「まあ確かにそれが一番ホラーかも」


「そうっすね」


「あーまた悪質な冗談を言ってる」


 くそぅ、あの一番のホラーを本人に見せたい!

 ……それはともかく。


「まあとにかく、此処にはおばけとかは出無さそう何で、さっさと目的の忘れ物を回収しますか」


「そうっすね。じゃあ行くっすよ。確か奥の部屋にって言ってたっすよね」


「そうですね。その筈です」


 そう言って二人が先導して歩いて行く。

 ……うん、おばけとかは一旦置いといて、さっさと仕事を終わらせていこう。


「さ、ステラも行こ……ん? どうしたのステラ?」


 なんかステラが真横を向いて固まっている。


「なになに? 何か見付け……」


 そして私もその方向を注視して……息を呑んだ。



 お、おるやんけ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る