2 聖女さん達、再会ハーレムパーティーの皆さん
「いや、ほんとありがとうっす……ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
とりあえず一旦私の家に戻ってシズクに朝ご飯を食べさせた後、私達は再びシズクの家へと戻りギルドへと出発する。
その道程の中でシズクは言った。
「にしてもやっぱ変化とか無さそうっすね」
「うん、完全に平常運航」
「うーん、何も変わってないのは良い事なんすけど……やっぱ良く分かんないっすね」
やはり顔を合わせれば国全体に張られている結界の話は出てくる。
現状、私が家に帰れるからこそ観測できる事だからね。当然だ。
多分シルヴィやステラにも同じ事を聞かれると思う。
……そして予想通り聞かれた。
「あ、アンナさんにシズクさん、おはようございます」
「おはよう。これで四人揃ったな」
ギルド近くの待ち合わせ場所で顔を合わせて軽く朝の挨拶をした後、シズクとしたのと同じような会話が繰り広げられた。
……何も分からないままという事を確認する会話をね。
うん、何か情報が入っている方が不思議な気がする通り、私を含めて四人共新しい情報は無し。
……まあ致し方ないと思うよ。
まあそういう事は一旦置いておいて。
「さて、冒険者ギルドに到着」
「なんかこう、出勤って感じ以外で此処に来るのは結構違和感あるっすね」
「出勤で良いんじゃねえのか? 仕事しに来たわけだし」
「いや、なんか違くないですか?」
「……まあ冒険者ってなんかこう、出勤って感じしませんもんね」
そんな会話を交わしながら私達は冒険者ギルドの中へ。
するとそんな私達に声を掛けてきた人達がいた。
「やあ、また会ったね」
そこそこ強そうな青年に声を掛けられる。
そしてその後ろには三人の女性。
ハーレムパーティーの皆様方だ。
「ああ、この前はどうも。色々と助かったよ」
「いや、俺達は……恥ずかしながら大して何もできなかったと思うんだが……」
「いや、ちゃんとあの場の事をうまく報告してくれていたし。それはありがとうだよ」
「ん? ああ、そうか……礼を言われるような事か?」
ハーレムパーティーの戦士……えーっと名前なんだっけ。
……ああ、そうだ。ライドさんだ。
この人や後ろの皆さんはそう言って首を傾げるけど、結構大事な役回りだよこの人達。
この人達が私達が滅茶苦茶強かった事を報告してくれなかったら、良い感じに事が進まなかったかもしれないしね。特にシズクの立場が危うかったんじゃないかなって思うよ。
そしてライドさんの視線はシズクに向けられる。
「ってキミは受付嬢の子じゃないか……なんか謹慎になったって噂で聞いたんだけど、もしかしてその期間中は冒険者をやる感じかい?」
「ああ、そうっすね。アンナさん達と組んで冒険者をやる事になったっす」
「成程……この三人に混ざってって事は、キミも物凄く強いんだろうなぁ……っとそうだ、ところで」
ライドさんはふと気になったように聞いて来る。
「あの時キミ達はFランクの冒険者だった訳だけど、流石にあれだけの強さって事はSランクとかになっているんだよね?」
後ろの皆さんもその言葉に頷くが……まあそんな簡単に行く程甘くは無かったよね。
「いや、なってねえな」
「Aランクです」
「「「「……」」」」
ステラとシルヴィがそう言うと、唖然とするように黙り込む。
そんな空間に割り込むように、更に一人の男が近付いてきた。
「おー来たかお前ら」
「あ、部長。おはようございますっす!」
「おう、おはよう」
ギルドの部長さん……って扱いで良いのか、マフィアのボスっていう扱いで良いのか良く分からないクライドさんだ。
そしてそんなクライドさんに力ない声音でライドさんは言う。
「あの、すみません……俺らなんかがSランクの冒険者やってて本当に良いんでしょうか?」
「なあシズク……お前らなんかやったか?」
私達は首を振る。
マジで何もやってない。
やった事と言えば……大量のドラゴンをシバいた位だよね、うん。
やってるね、色々と。
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