20 聖女さん達、会敵
自己紹介を終えた後、気が付けばルカの手に仮面が用意されていた。
……いつの間に、というか何処から出したんだろう。完全に手ぶらに見えるんだけど……これも私と戦った時に見せてた暗器の技能を使ってる感じかな? 知らんけど。
そしてそれをルカは顔に装着する。
「つけるんだ」
「正直街中で結構なアクションをした後だ。もう遅いかもしれないが……基本的には立場上何かをする時には素性を隠すべきだ」
と、そこでルカが提案してくる。
そんなルカにはどこから出て来たかマジで意味が分からない仮面がもう一枚。
「お前もどうだ? 一体どういう人間が関わっているか分からん。隠せるなら素性は隠しておいた方が良いんじゃないか?」
「あ、別に素性割れても気にしないし、あと若干ダサいから嫌かな」
「……」
黙り込んだ。
「……まあ今更隠した所でもう遅いか」
仮面取ったぁッ!
そしてすんごいまじまじと仮面を見てる!
「あ、いや、ダサいって言ったのは言葉のあやというか……」
「は? 俺は必要ないと思ったから外しただけだが? ん? よく見れば内側に割れ目があるな。こっちもだ。この前の戦闘で損傷したか……致し方ない」
そう言って男は……力づくで二枚とも割ったぁ!?
「いや、あの……ほんとごめん!」
「は? 何を謝っているんだ。俺はどうせ処分しないといけないから今処分しただけだが?」
「……そっか! なら仕方ないね!」
乗っかった。
可哀想だから乗っかった。
いたたまれない。なんだこれ。
「……ところでこれは俺の独り言なんだが、この仮面を黙ってつけてたって事は、結構気を使わせてたって事になるのか?」
独り言を、疑問形で、ぶつけるな!
「……これ私の独り言なんだけど、これ終わったらお詫びにケーキでも買って行ってあげたら? 良い店知ってるけど紹介しようか?」
「独り言だが助かるよ」
「独り言だけどどういたしまして」
……独り言ってなんだっけ?
と、そんな風に状況に似合わない軽い雰囲気になっていた時だった。
「さあ気を引き締めろよ。此処からはもう冗談なんて言ってられないぞ」
「いや、アンタ冗談っていうかマジで言ってたよね? ……まあ、言いたいことは分かるけど」
言いながら、矢のように複数飛んできた魔術を躱した。
……明確に私達に殺意を向けた攻撃だ。
そして、追撃するように四人組の男達が高速で接近してきたのを肉眼で捉える。
……その全員からこの空間と同じような、関わってはいけない人間という感じが強く伝わってきた。
……流石に冗談言ってられる空気ではもうないよね。
「いくよ!」
「ああ!」
戦闘開始だ!
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