19 聖女さん達、今更ながら自己紹介をする
「そうだ、アンタ名前は? 聞いてなかった」
走りながら男にそんな事を聞いてみる。
そういえばコイツの名前知らないままだったしね。
名前も知らないと正直この先連携とかやりにくそうだし、聞けるうちに聞かないと。
「人に名前を聞くときはまず自分から名乗ったらどうだ?」
「逆に名乗ったら教えてくれるんだ。その辺の個人情報ってアンタ達的にバレたら都合悪いんじゃないの?」
「あまり大っぴらにはできんが、まあお前やお前の仲間にはこの際言っても良いだろうとは思うよ。それに言った所でお前らにはそれが本名か偽名かの判断が付かない訳だしな」
……なんか本名言いそうだよねコイツ。
絶対律義に本名言うよ。
間違いない。
うっかりとかじゃなく、色々考えた末に本名言うよコイツなら。
「で、お前の名前は?」
……とりあえず先に私が名乗れってのはごもっともなんで、私が先に名乗っておこうかな。
「アンナ・ベルナール。好きに呼んで貰って良いよ」
「ではベルナールと……ベルナール!?」
「うわッ!? びっくりした……え、急にどうしたの?」
「あい、いや……丁度尊敬する学者の苗字と同じだったものでな。まさかその親類縁者と知り合ってしまったのではないかと思ってな」
……ああ、そういう事ね。
「ちなみにその学者の名前ってユアン・ベルナールって名前じゃない?」
と、私の問いで色々と察したのかもしれない。
「……なるほど、お前の強さの理由が腑に落ちた」
そう言ってから、一応聞くべきか迷うような間を置いた後、男は聞いて来る。
「一体どういうご関係だ?」
「親子」
「……なるほど、余計に腑に落ちた」
と、一人で納得している男に対して一つだけ訂正しておきたかったから、これだけは言っておく。
「というか勝手に腑に落ちないでよ多分考えてる事と違うから。ほぼ独学だからね私の場合は。私の強さとアイツは関係無い」
「魔術の手ほどきを受けたとかそういう訳じゃ……」
男の言葉が途中で止まる。
私の声音とかから、色々と察してくれたように。
「……すまなかった」
「何が?」
「独り言だよ」
そう言った後、一拍空けてから話の軌道を戻すように男は言う。
「……じゃあ次は俺の番か」
そして男もようやく自己紹介。
「ルカ・スパーノ。俺も好きに呼んで貰って構わん」
「じゃあルカで」
……多分本名だろうなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます