18 聖女さん、三人パーティー

 ステラのそんな頼み。

 それを受けるか否かなんてのは考える必要など何処にもなくて。


「いいよ。組もうかパーティー」


 私は二つ返事でそう答えた。


「い、いいのか!?」


「逆に駄目な理由が見つからないかな」


 ああそうだ。

 別に悩む必要なんてない。


「私は同じような境遇で奇跡的に知り合ったステラの事、勝手に友達だと思ってたからさ。理由なんてそれで充分じゃない?」


 そう、それで十分なんだ。

 見ず知らずの誰かの為に頑張る気力は中々湧いてこない。

 あの馬鹿の所為でそういう気は失せた。

 だけど仲良くしていきたい誰かの為だったら結構色々な事を頑張れると思う。

 それにそもそもこの程度、私達なら頑張らなくてもどうにかなる筈だしね。


「……アンナ」


 そこにシルヴィも軽く手を上げた。


「あ、わ、私も! 私もアンナさんと同じで。大歓迎です!」


「シルヴィまで……」


 そしてステラは泣きそうな表情を浮かべる……そして笑みを浮かべて言う。


「……ありがとう。本当に俺は、人との出会いに恵まれてるな」


「大袈裟じゃない?」


「そうですよ」


「大袈裟なんかじゃねえよ……ほんと、恵まれてる」


 そう言った後、ステラはこちらに手を差し出してくる。


「じゃあこれから……よろしくな、二人共」


「うん」


「はい!」


 そして私達は三人で握手を交わす。

 こうして私達のパーティーは三人になったのだった。



 それはそれとして、友達だと思ってるって言った時、何言ってんだコイツみたいな顔されなくて本当に良かった。

 正直なんか不安だったからマジで良かった……。


 ……っていうか冷静に考えて私結構恥ずかしい事言ってないかな?

 言ってた気がする。


 でもまあほんと、結果的に色々な事が良い方向に転がってくれて良かったと思うよ。

 私達的にも二人より三人の方が良かったと思うし。

 私達も私達に見合った依頼を受けたかったわけで、これで少しでも受けやすくなったわけで、良いことしかない。

 そもそもwin-winな感じの相談だったんだよね。

 それに昨日のお店無茶苦茶美味しかったから無くなってほしくなかったし……うん。


 まあ、そんな打算的な話は二の次なんだけどさ。


 ……とにかく、しばらくはこの三人で頑張っていけたらなって思う。



 ……うん、恵まれてる。

 まだ二日目。

 色々あってまだ二日目でこうして気の許せる仲間が二人も出来たっていうのは、本当に人との出会いに恵まれてるって思うよ。

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