4 聖女さん、冒険者ギルドへ

「ありがとうリュウ君。今度またゆっくり遊ぼうね」


 隣国の門の関所の前まで辿り着いた私は、ひとまずリュウ君から降りた。

 そして一旦リュウ君には帰って貰う事に。

 流石に連れて入る事はできないしね。


 そして私は関所で手続きを進める。

 入国審査だ。


 ……まあほぼ形式上の簡素な物だったけど。


「……うん、これ普通に大問題なんじゃないかな。私にとっては好都合だけどあまりに簡素すぎる。なんでこれで普通に治安悪くないんだろこの国」


 本当に簡単に入国できて、流石に驚きながらも私は王都を目指す事にした。

 安く早く向かおうと思えばリュウ君に頼るのが一番だけど、流石に国から国への異動では無く町から都市への移動だ。

 人だって既に一杯居るし、こんな環境でいきなりリュウ君に頼るとなると、問題行動扱いされてまた国外追放とかされるかもしれない。

 今度は普通に自業自得で。


 だから馬車を乗り継いで王都へ。

 幸い聖女としての報酬はそれなりに貯め込んでいたし、私にとっては本業の感覚だった魔術研究でもいくらかの報酬は得ているから、節約するに越した事はないけど、馬車に乗ったからといって一文無しになる様な絶望的な状況ではない。

 やっぱり人生何があるか分からないから、最低限度の貯金って大事だ。

 私が浪費癖のある馬鹿じゃなくて良かった。


 さて、流石にただ移動しているだけでトラブルなんてのはそう起きる筈もなく、私は早々と目的地へと到達した。


「ここが冒険者ギルドだね」


 依頼者からの依頼をこなす事で生計を経てる冒険者。

 その依頼者と冒険者の仲介役となるのがこの冒険者ギルドだ。

 聞いた話によると、冒険者ギルドの発行する登録した冒険者の情報が記されたギルドカードはそのまま国内で身分証明書として使えるらしい。


 ……うん、本当に大丈夫なのかなこの国。


 移民に対する色々なハードルが、あまりにも低すぎないかな。

 ここまで両手を広げてウェルカムだと、流石に心配になってくる。

 まあ、おかげで助かってるんだけど。


 ……まあ私が細かいことを考えても仕方がない。

 今は職と、この国で生活していくための身分証明書……もといギルドカードを手にいれる。

 その為には細かい事なんて気にしちゃダメだ。


 そう考えて私は色々なツッコみ所に目を瞑りながら、冒険者ギルドに足を踏み入れたのだった。

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