第23話 毒母とパチプロデビュー

 無職で社会人になった私はアルバイトを始めた。

 けれどそこのパートのおばさんになじめずに、早々に辞めてしまった。


 それがいけなかったのだろう。

 母は私を朝からパチンコに連れて行くようになったのだ。

 パチンコをする要員として。


 この当時は、パチンコにモーニングセットという朝いち500円で大当たりが出る仕掛けを何台かにお店側がしていた。


 それに当たる事を目指して開店10時の10分ぐらい前から並ぶ。

 母は強欲なので、自分がモーニング当たるだけではなく私もターロも当たってほしくて3人で毎日パチンコ店に行くのが日課になってしまった。


 私のパチプロ生活デビューだ。


 思い返してみると、今頃はちょうどバブル期だったかもしれない。

 だからパチンコ店もよく出していた。


 朝いちのモーニングに当たって、そのまま閉店の夜10時までドル箱を重ねると1日で10万円ほど稼げるという日も多々あった。


 だけど1日12時間も母とパチンコに拘束されても、私の取り分は3000円ほど。


 私は次第に、個人でパチンコを打つようになっていった。


 朝いちモーニングに外れると、基本そこで解放してもらえる。

 たまに前日の儲けが多かった時などは、母が欲をかいて他にもどんどん私に打たせる事があるが、大抵は次の日のモーニングまで私は用無しとなる。


 用無しとなった日の私は、そのまま帰宅せずに、同じ繁華街内の他のパチンコ店へ行き、自分のお小遣いでパチンコをする。


 私は基本、あまり多くは使わないので(使って5000円)早ければ500円、多くても3000円ぐらいまでに大当たりがくることが多かった。


 そうするとそのお金は私の貯金となる。

 そうやって私は無職でありながら、貯金を増やしていった。


 ところがそう上手くはいかない。


 たまたま、ふらりと別の店に現れた母によって大当たりしているのを見つかってしまう事もあった。

 そうするとそのお金は没収されてしまう。

 次の日以降の軍資金と称して。


 少し前(現在のね)に、ターロから私が大学に行けなくなった本当の理由を聞いた。

 理由は、母が母の弟であるS兄ちゃんに私の大学入学資金を貸してしまったからだと。


 それであっても母がいきなり、トリマーの学校に行けと言い出したのはもしかしたら、こうやってパチンコで儲けたお金に余裕があり、S兄ちゃんの件で母なりに罪悪感があって行かせようと言い出したのかもしれないと思った。


 けれど資金がパチンコの儲けなので、負け続ければあっという間に無くなってしまう事も。

 だから今度は急に、学校に行かせないと言い出したのでは無いかと、そう推測した。


 なるほどね、とこういった母の生活が見えてきたパチプロ生活だったが、私は24歳の頃ぐらいまでこれを続けるという、とんでもない社会人の始まりだっだ。

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