第4話 髪型支配

 私は四歳ぐらいの頃にパーマをかけられた事がある。

 パーマと言っても可愛いものではなく鳥の巣か、アフロかっていう具合のものである。


 多分、キャンディキャンディが好きだった母親が、あのような髪型を私にさせたかったのかもしれない。


 仮面ライダーやゴレンジャーは好きだが、キャンディキャンディは然程興味のなかった私は嬉しいどころか、嫌だった。


 それもかなり嫌だったが、もっと嫌だったのは、私のパーマに飽きた母親が自分の手で坊主に近い頭に切ってしまった事だった。


 なんで、やりたくもないパーマを当てられ、母親の気分次第で女の子だというのに坊主のようにされなくてはいけないのか。


 この理不尽さにも、幼い私は一人ひっそり悲しむだけで文句すら言えなかった。

 もちろん、幼稚園に行きたくないなんて事も言えず、いつものようにただ無表情に何とも思っていないかのごとく、されるがままになっていた。


 その後も中学に上がるくらいまでは、母親の趣味の髪型しかさせてもらえなかった。



 普通のおかっぱとかなら、まだ良かっただろう。


 けれど母親が好んだ髪型は、オオカミカット。

 しかもヤンキーの子どものように襟足だけ長いという髪型だった。


 今でも思い出すと不快感でいっぱいになるぐらいに、子どもの頃の髪型が嫌いだ。



 中学になると、さすがに母親もプロレスラーみたいな髪型を私にさせ続ける事はどうかと思ったのだろう、おかっぱにさせてくれた。


 とはいえプロレスラーヘアーからおかっぱにするには、かまやつひろしヘアーを挟むぐらい伸ばさないといけなかったので、その間は母親にはうっとおしい髪だと言われ、くじけそうになったが横髪が耳にかけられるようになった時は感動だった。


 ところで、最初に書いたパーマについてだが、幼い子どもに母親の趣味でパーマをかけさせるのは毒親あるあるの一つらしい。

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