生徒会に誘わない


瑠奈と梨央奈先輩が泊まり、夜中まで三人でゲームをして遊び、2人は疲れて僕のベッドで寝てしまった。


こうやって見ると、髪色も似てるせいか姉妹に見えるな。


「僕も寝よ」


そして朝がやってきた。


「蓮くん!瑠奈ちゃん!起きて‼︎」

「梨央奈うるさいー」

「なんですか?」

「もう9時‼︎1時間遅刻‼︎」


僕は慌てて起き上がり、携帯を見た。


「本当だ」

「ヤバイよ......生徒会はみんなの見本でもあるの、遅刻なんてしたら......」

「い、急ぎましょう!ほら!瑠奈も早く起きて!」

「んー、はーい」


瑠奈は寝ぼけながらマイペースに準備を......せずに棒立ちしていて、僕と梨央奈先輩は準備を終え、梨央奈先輩は寝ぼけている瑠奈をおんぶし、学校に走った。


「梨央奈先輩!瑠奈、パジャマのままですよ⁉︎」

「とにかく学校行かなきゃ!」

「1日ぐらい休ませても良かったんじゃ⁉︎」

「......確かに」

「うわ」


瑠奈は梨央奈先輩の背中が居心地いいのか、気持ちよさそうに寝ている。


そして学校に着くと、雫先輩は昇降口前で僕達を待っていた。


「し、雫......おはよう......」

「雫先輩、おはようございます......」

「83分遅刻。どういうこと?」

「昨日夜更かししちゃって......」

「それで、瑠奈さんは何故パジャマなのかしら」

「急いで連れてきた」

「瑠奈さん、起きなさい」

「......雫先輩?」

「貴方、パジャマで授業を受けるの?」


瑠奈は梨央奈先輩の背中から降り、自分がパジャマ姿なのを見て固まった。


「......なんで私パジャマなの⁉︎」

「校門をくぐってる以上、登校したことになるの。校則違反よ」

「わ、私は連れてこられただけ!」

「蓮くんは朝にグラウンド100周走る予定だったわよね」

「はい......」

「83分の遅刻ということで、83周追加。梨央奈さんと瑠奈さんも、一緒に走ってあげたら?」


すると梨央奈先輩は、雫先輩の耳元で小さく囁いた。


「ウサギのぬいぐるみって可愛いよね」

「......早く教室に行きなさい。瑠奈さんは一度帰って着替えてきなさい」

「走らなくていいんですか?」

「いいから早く行きなさい」

「はい」


瑠奈は一度僕の家に戻り、僕と梨央奈先輩は学校に入った。


「さっき、雫先輩に何言ったんですか?」

「ウサギのぬいぐるみ可愛いよねって!」

「脅しじゃないですか......後々酷いことされませんよね」

「大丈夫だよ!」

「ならいいですけど......」


梨央奈先輩は僕が先生に怒られないように、教室まで着いて来てくれた。


「遅れましたー」

「もう授業始まってるわよ」

「ごめんなさい先生!ちょっと訳があって」

「あら梨央奈さん。生徒会の仕事かなにか?」

「はい!瑠奈ちゃんも後で遅れてくるので!」

「そういうことなら分かったわ」


梨央奈先輩は可愛らしくウィンクして自分の教室に向かった。


助かったー。瑠奈のことも庇うなんて、本当に仲良くなったんだな。


それから瑠奈も登校してきて、お昼休みなると、瑠奈は一人で梨央奈先輩の教室に向かった。


「梨央奈!」

「梨央奈さんなら千華さんの教室よ」

「げっ。なんで雫先輩が居るの」

「私の教室だもの」

「あー、なるほど。じゃあねー」


瑠奈は千華の教室に行き、梨央奈を呼んだ。


「梨央奈!」

「瑠奈ちゃん、どうしたの?」

「朝ごはん食べてないし、食堂でなんか食べようよ!」

「瑠奈ちゃんと梨央奈って、そんな仲良かったっけ」


そう、椅子に座りながら言う千華に、千華から貰った飴を舐めている乃愛は言った。


「知らないの?二人って付き合ってるんだよ」

「マジ⁉︎」

「そんな訳ないでしょ。乃愛も変な嘘つかないの」

「はーい」

「そういえば、瑠奈ちゃんって千華とも仲良かったよね」

「千華先輩とは、仲良い時とそうじゃない時の差が激しい」

「そうそう。瑠奈ちゃんが蓮に近づくから」

「お前だろうが‼︎」

「はいはい、喧嘩しないの。食堂行くよ」

「うん!」


梨央奈は瑠奈を連れて食堂に向かうと、蓮が林太郎と二人でスパゲティーを食べていた。


「蓮と林太郎じゃん!」

「おう!瑠奈!梨央奈先輩もどうも!」

「どうも」 

「そうだ!四人で食べよ!梨央奈、私もスパゲティー!」

「まさか、奢ってもらいたくて私を呼んだ?」

「わー!蓮のスパゲティー美味しそう!」

「瑠奈、その話の逸らし方は無理があるよ」


だが、梨央奈先輩は嫌な顔せずに、瑠奈にスパゲティーを買ってあげた。

お金持ちからすれば、食堂の320円のスパゲティーは駄菓子を買うのと同じ感覚だろう。


初めてのメンツでお昼ご飯を食べ、教室に戻る途中、林太郎くんは安心した様子で話しかけてきた。


「梨央奈先輩とやり直したんだな」

「やり直してないよ!友達になった!瑠奈も梨央奈先輩と友達になったみたいだけど」

「梨央奈は親友!」

「いいな!一人でも生徒会に友達がいると、この学校では安心だな!」

「んじゃ、林太郎くんも安心だね。僕と友達だし」

「蓮は生徒会サブメンバーみたいなもんだろ」

「え」

「だって、制服の紋章も銀だったし、ワイシャツに金の紋章のバッチ付いてないじゃん」


確かに......みんなワイシャツにも付いてる‼︎

それに制服の金の紋章はどうなった⁉︎てか、制服返してもらってない‼︎


「ちょっと雫先輩のとこ行ってくる!」


駆け足で雫先輩の教室に行き、僕は勢いよく聞いた。


「雫先輩!ワイシャツに付ける金のバッチ貰ってません!睦美先輩ですら付けてるのに!」

「欲しいの?」

「当たり前じゃないですか!」

「それじゃ、はい」


え、あっさりくれた。


「あ、ありがとうございます。ちなみに制服はどうなりました?」

「衣替えのタイミングで持ってくるわ」

「分かりました」


よし!これを付けたら、僕もナメられないで済む!生徒会の証だー!


そして時は経ち、二年生の修学旅行初日の昼休みの生徒会室......


「睦美先輩‼︎どうしましょう‼︎」

「わ、私はなにも......」

「こんなの、雫先輩が知ったらヤバイですよ‼︎」


雫先輩達が修学旅行で居なくなった途端、学校にお菓子を持ってきて、堂々と食べる生徒や、堂々と携帯やゲームをいじる生徒が現れたのだ。


「睦美先輩〜」

「私は見てることしかできないよ」

「そこをなんとか〜」

「うーん......」

(私......涼風くんに頼られてる⁉︎♡)


その時、雫先輩から電話がかかってきた。


「も、もしもし」

「学校は変わりないかしら」

「か、変わりありません!」

「そう、よかったわ。もし、私達が居ない間、何か問題があった場合だけれど」

「はい......」

「次の生徒会選挙で私が選ばれても、私は蓮くんを生徒会に誘わない」

「そんな......」

「修学旅行が終わったら、先生に学校の様子がどうだったか聞くわね。ちなみに、問題が起きても、全て蓮くんに任せるように言ってあるから。それじゃあね」


電話を切られ、僕はその場にうなだれた。


「終わった......」

「えぇ⁉︎」

「睦美先輩もナメられてるんですよ」

「え」

「じゃなかったら、いつもと変わらない学校のはずです!」

「確かに......病んだ。教室戻る」

「えー⁉︎睦美先輩〜‼︎」


これ......どうなっちゃうんだ⁉︎

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