G.B.2
笹岡悠起
カフェレーサー
洋子ちゃん、いや仲良くなってお互いに呼び捨てにしようってなった、洋子が教習所に通い始めたらしい。
洋子には、私が今背負っている一人看板(バイクチームのマークみたいな)をデザインしてもらう時にお世話になった。話をしているうちにバイクに興味を持ってくれたみたいでそこは正直嬉しい。
もともとユキの友達だからバイクに興味はあったのかもしれないけど、洋子がうちの大学に編入する前にいた短大のオタクサークルの部長(いつもロリータ服を着ている腐女子)がバイク乗りに偏見のある人だったからそういう話題は控えていたのかも。
免許が取れたらバイクサークルに入りたいと言ってくれたんだけど、部長の宗則に持ち掛けたらバイクサークルの部室諸事情で、免許無くていいからまず入部してくれとなった。
大学側が決めているサークル活動継続条件は5人だが、現状サークル数が増えていく中で部室棟の部屋数にも限りがあり、部室保有条件などがいつ改正されるかわからないので一人でも多く申請したいらしい。
とはいえ、結局洋子も私と孝子と同じ三年生、このままでは私たちの卒業で決定的ピリオドかもね。
「洋子って欲しいバイクとかあるの?」
「具体的に車種とかはわからないけど、カフェレーサースタイルのバイクに乗りたいかな」バイクサークルのたまり場はまだ馴染めない洋子とテラス席でお昼。
〝カフェレーサー〟
聞いたことはあるがすぐにビジュアルがでてこない。近くに宗則が欲しい。洋子の説明を聞いてもやはり良くわからなかったが、元々はコーヒーを飲みに行く為だけのバイクなんだとか。
「免許取ってバイク買ったら一緒にコーヒー飲みに行こうか?」と誘う。
「え、えと、最初は迷惑かけちゃうかもだから、慣れてからがいいかな」と下を向いて伏せ目気味な洋子。
「孝子とユキとで女子だけで行こうよ」
「いいの?」と洋子。語尾と目線があがっている。
「もちろん」と私。峠でバイクを速く走らすことが生きがいの孝子も、街中なら初心者同伴でも問題ないだろう。
「キョウ、ありがと」と顔を赤らめて下を向く洋子。
なるほど。
街中プチツーリングとはいえ、男子とツーリングはまだハードルが高かったか……。
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