35
相田秀介
35
35歳といえば生まれてから35年たったということだ。
長いようにも短いようにも思える不思議な数字。
世間の35歳は何をしているんだろう。
仕事がバリバリ出来て安定して稼いでいるやつ。
結婚して子供が生まれたやつ。
適当に生きてるやつ。
適当に生きているのが自分だ。
なんかもう35年も生きればもういいよと思う。
だってこの先の楽しみが全然見えないもの。
20代前半は上京してそれなりに楽しかった。
20代後半は生に必死にすがっていた。横道なんかに行く暇がなかった。
だからずっと自分は一人だと確信していた。
28で死にぞこなって、
恥をもって帰ってきて、またここで一から新しく生活できるんだと。
28から35。
新しい暮らしも7年。
30代の前半のくぎりの35。不安定に生きている。
その中で沢山、昔に見たものではない別のものが見えてきてまたつらくなった。
どうしてあの時、無理をしてでも腹を切るべきだったと何度も呼び返す。
己にくそったれと叫び返す。
何もない。
何もないからもう終わってもいいだろう。
だってもう35年も生きたんだから。
でもそんな力がないから生き延びている。
悔しいけれど。
35 相田秀介 @nanado
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