レコーデッド デイドリーム

シヴィ

夢の始まり

 「夢」という言葉がある。


 生物が睡眠中に見るもの、そこから転じて将来の野望を指したり、或いは他人の野望を揶揄する際にと挙げ出したらキリがない程多様な使われ方をしてきた言って仕舞えば一種の便利ワードである。


 しかし、それはもともと何だったのか、という話をしよう。

——例えばそれは「白昼夢」となって我々に非現実を見せる。

——例えばそれは「夢魘」、「悪夢」となって我々に牙を剥く。

——例えば我々は物事に「夢中」になることもしばしばだ。


言葉遊びだけでなく、具体的な夢に関するエピソードも挙げようか。

某掲示板にて絶大な知名度を誇る都市伝説「猿夢」、某ドラゴンなクエストのVI、ポケットなモンスターのBでWに登場するあの世界、古くを辿れば「夢に他人が出てきたら、それは相手が自分のことを恋い慕っている」なんて話もある程だ。


 しかし、この世界はどうだろうか。

「夢?は、くっだらねー。ンなもんただの幻想じゃねーか」、などと一笑に付されるのが関の山だ。


 なぜか?夢だからだ。そもそもこの世界に存在しないただの妄想、妄言の類を信じる方がどうかしている、と科学的に結論づいているからだ。そも、人間という生物は無学であればあるほど「科学的」などというよくよく考えたら曖昧なワードを信じたがるものですし。この世の大半は無学のバカで構成されてますし。だったらもうこれ以上言及する必要もないほど我々に必要な結論は出てるわけでして。


「科学的に」考えて取り合うほどの価値があるものじゃないのだ。



 しかしッ!あの有名な科学の結晶であるドラえもんは言った。「科学が全てではない。科学は人間の生活を豊かにしたが、同時に心を貧しくしたのではないか」と。よく言ったドラえもんッ!僕はお前に敬意を表するぞ。



 つまりだ。こんなにも我々の文化に密接に関係している「夢」、果たして本当に取り合う価値はないものなのか。「科学的に考えて、現実的じゃあない」と、本当に、その様に捨ててしまって良いものなのだろうか。それは確固たる自分の意見かどうか、胸に手を当てて考えてみて欲しい。誰かに流されてそんな意見が出てきたんじゃあないか?考えるほどのものじゃないと、考えたことすらもないくせに、いつしか忘れてしまったのではないか?



 ……さて、ここまで力説してきたが何を言いたいかというと、「こんな世の中だからこそ、夢を持って生きて行こうね」ってこと……ではなく。


 見る価値のある夢の話をしようか、ということである。

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