再調査

 今日は昨日とは違い、お天道様がまだ高いうちに出発することができた。

 依然として気温は高く、陽炎が行く先々に現れる中何とか目的地に着くことができた。

「めちゃくちゃ暑い……」

 バイクから降りた彼女が、セーラー服の胸元をパタパタさせながら唸る。はしたないと思いながら僕は視線をそらした。

「そういえば準備したものって何なんですか?」

 気だるげな顔をした彼女が聞いてくる。

「そういえば話す約束だったな」

 早速僕はバイクでけん引してきたボックスから準備してきたものを取り出し、彼女に見せた。

「まずは暗視薬。これを飲めば装置がなくても暗闇で周りを見渡せる。効果は半日だけど」

「ほうほう」

 彼女がうなずく。

「そしてこれが護身用の……」

 そう言うと僕は三つのテニスボールのようなものを袋から取り出して見せた。

「電撃弾だ」

「何ですかそれ?」

 不安そうな目で彼女がこちらを見る。

「対象の動きを一時的にだが麻痺させることができる。もともとは獣とかの捕獲用だから殺傷力は低いけど」

「大丈夫ですか?」

 説明したところで彼女は未だに不安そうな様子だった。

「そんなに不安か?だったら……」

 本当は使う予定ではなかったのだが、あるものを取り出すことにした。

「開発部に残ってた試作兵器もないこともないが……」

 僕は彼女の目の前に二つの試作兵器を取り出した。一つは非常に大きなライフルのようなものであり、もう一つは刀のような形状をした武器であった。

「まあこっちの方が安心できますけど……大丈夫なんですか?」

 彼女はそのうちライフルのようなものを持ち上げて、じっくりと観察していた。

「ずいぶん手慣れてないか?」

「そ、そうですか?」

 そう言いながらも彼女は手慣れたようにライフルを観察していた。

「これはきっと……レールガンね」

「レールガン?」

 今度は僕が彼女に質問した。

「最新鋭の装備だけど……電源がないと使えないですね」

「じゃあだめか……」

 彼女はレールガンをもとの位置に置くと、今度は刀を持ち上げてこれまた観察した。

「これは……ただの刀にしか見えない」

「ええ?じゃあこれらは……」

「正直役に立たないですよ。その電撃弾というのが一番マシですかね」

 そう言うと彼女は「一個貰いますね」といい、僕の手から一つ球を持って行った。

 結局あのガラクタを持ってきた意味は何だったのだろうと思いながら、僕はスイッチを探した。

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